絶望に効くお薬処方箋 漫画家 山田玲司 公式サイト

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コラム 2017.06.11

【第25号】ムカつく時の対処法

イライラしている人が増えている。

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ここ数十年、ますます増えてきた気がする。

ネット界隈は昔からだけど、特に車の運転をしている人の「イライラ」がひどくなってきたと思う。

ところが沖縄では全然違うんです。とにかく道を譲ってくれる人が多い。

都内ではガンガンあおってくる車が多いし、何なら真後ろに張り付いて圧をかけてくる人もかなりいるのだけど、そういう「イラ車」は沖縄では滅多にいないのです。
沖縄では軽自動車ばかりが走っている。「収入が少ないからですよ」と地元の人は言う。

「お金もないし、やる事もないし、遊ぶ所もないんで、ジョギングしてる人も多いんです」なんて笑ってる。

「やる事がないから走る」って、何て素敵なんだ。
ともかく都内とは違って美しい自然と空気の満ちた沖縄なので、ジョギングも贅沢な「楽しみ」になるのだと思うと羨ましい。

沖縄の人たちの笑顔にはいつも癒されるんだけど、その背後には過酷な自然との闘いと貧困との戦いがあるのもあるし、過酷な歴史もくぐってきた人達だ。まったく頭が下がる。

前回の放送で「壁の中に閉じこもって、外の世界を無いものとしてきた日本人」について話したけど、沖縄はずっと「外」に置かれてきたのだ。
戦争中も戦後も本土とは違って直接被害を受けてきた。

その中で育った精神は強いなあ、といつも思う。
一方、本土では「自分たちを外から守ってきてくれたもの」が音を立てて壊れようとしている。

まず経済、そして科学技術、安全神話が壊れ、環境と学校、家庭も壊れた。

そんな中で「心」が壊れていっている。
起こっているのは「壊れていく心」がイライラを増幅させていく「悲しいドミノ倒し」だ。

「優しくされた人」は優しくすることが簡単にできる。でも「傷つけられてきた人」が人に優しくするのは難しい。
「こいつムカつくなあ」と思った時、その相手の多くが「傷ついてきた人」なのだ。
これがわかっていても、人を許すのは難しいものですよね。

怒りと悲しみのドミノ倒しが自分に突っ込んできた時は、自分もやり返してしまいたくなるものです。

でもここで誰かに唾を吐くと、その唾は間違いなく「自分」に返ってくるのだから困ったものです。

ダライラマが昔、子供から質問されてた時の話です。

「ダライラマは怒ることはないのですか?」という質問に、彼は「私も感情的になったりする事もあります。でもそれは海の表面は波立つようなもので、海の底はいつも穏やかなのです」と言っていた。

その時は「へえ、ダライラマも怒るんだ」とか思っていたのだけど、今はその「海の底」に興味がある。

それは「いっぱい悩んで、いっぱい傷ついて深めていった海の底」なのかもしれない。
「浅い考えの人」ってのは、1人で深く考えてこなかった人なのかもしれない。
イライラしてジタバタして、考え過ぎながら、海の底は深くなっていく。

そして多少の波では揺るがない「深く穏やかな心」になるのだろう。
もちろんそんなに簡単にはいかないよね。

僕も未だにジタバタしている真っ最中です。

もう1つイライラの処方箋は自分のいる世界をはるか上空から眺めることです。

少し先に行けば爆弾に吹き飛ばされた子供を抱いた母親が泣いています。
遠い未来から見てもいいし、遠い過去から眺めてもいいでしょう。

疫病で全滅していった村や、80歳になった自分から見る「今の自分」などを想像してみて下さい。
「イライラしている自分」が、いかに贅沢な環境にいるのかがわかれば、気分は少し落ち着くかもしれません。

全盲の人はこの国に30万人いると聞きました。
歩けない人も、起き上がれない人も沢山います。
五体満足でコーヒーを飲みながら、何を怒ることがあるんだろう?
なんてね。
ともかく、今週も大好きな漫画を一杯描けました。全ての感謝は漫画でお届けします。

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山田玲司

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メルマガ発行日 2015/3/23

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