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コラム 2017.08.04

【第79号】BEBYMETALとパナマ文書

山田玲司のヤングサンデー 第79号 2016/4/11
BEBYMETALとパナマ文書

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いやー・・
なんとなく「面白いかも」なんて気分で取り上げたヘビメタを歌うアイドルユニット「BEBYMETAL」ですけど、どうやら彼女たちは世界的に猛然と売れているみたいですね。
放送中「彼女たちはメタルなのか?」なんてどうでもいい話をしている時に「アイドルだろ」というコメントをいただきましたけど、まあ確かに「アイドル」の1種ですよね。

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それにしてもこのBABYMETALのコンセプトである、
「しゃべらないアイドル」
「狐つきになって歌い踊る」
「スーパーテクのバックバンドが骸骨姿で”神”と呼ばれている」
というヤツに、実は「熱い何か」感じてしまいましてね。ええ。
もちろん可愛いアイドルの彼女達の話ではなく、その裏で格闘している「おっさんたち」の気持ちです。
「どうしようもなくロック(メタル)が好きで、色々頑張ってきたけど、どうにも日が当たらなかった(であろう)ロックオヤジたちの熱い思い」です。
おっくんが言っていた、メタルの持つ本気の姿勢「憤怒と憎悪」そして「様式美」を支える圧倒的なテクニック。
それらを支えるために「猛烈な影の努力」を必要とするのが「ヘビーメタル」という音楽なのです。
そんな「メタルの神」に救われた男たちが、少女たちの力を借りてでもその世界に殉じたかったというのが「BABYMETALプロジェクト」なのでしょう。
それを想像すると泣けてくるわけです。
「アイドル」という言葉の語源は、「偶像」を意味する英語(元はギリシャ語の「見る」)から来ていると聞きますけど、若い女性(男性)を人形のように使って、後ろにいる表現者(作詞家作曲家)の思いを伝える「浄瑠璃型」のアイドルが主流の日本では、むしろ「アイ(私の)」「ドール(人形)」なんていう方がしっくりくる気がしますね。
それは漫画家やアニメーターなんかの思いを伝える「キャラクター」もまた同じ様な「ドール」なのかもしれない。
最近よく言う「中の人」というのもそれと同じで、日本のアイドル(キャラ)には、それに魂を吹き込む「影の作り手」がいるわけです。
そういう人に対する感謝も日本のアイドルファンの人達はわかっていて、AKBのファンは「複雑な思い」を抱えながらも「秋元さんありがとう」などと言うわけです。Perfumeのファンも「中田さんありがとう」と言うわけです。
このあたり僕は好きな感じです。日本人っていいな、なんて感じる部分です。

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ところでそんなこんなBABYMETALの話をしている時に世界では「パナマ文書」の衝撃で大騒ぎになっておりました。
パナマ文書とはざっくり言って「巨額の税金逃れ」をしていた企業や個人の情報が流出したって話です。
特に国民の代表として選ばれ、税金で食わせてもらっている「国のリーダー」が、自分は自分の国に税金を納めていなかったというのです。
その中には「国の支援」として血税を援助してもらっていた大企業も沢山いて、恐ろしい事に主な有名企業のほとんどがそのリストに入っていたことです。
どういう事かと言うと、マスコミ関係のスポンサーや広告代理店や政治家などがリストに入っているため、例のごとく「日本ではほとんど報道されていない」わけです。
企業が「アイドル」とするなら、「中の人」は何をしているんでしょう。
「皆様の幸せをつくる企業でいたい」とか「国民の皆様のために必死で働かせて下さい」とか「表」では言っているのに、その「中の人」はどうなんでしょう。
BABYMETALの「中の人」みたいに誠意を込めて働いているんでしょうか。
まあね
「自分たちさえよければいい」という「いつもの本音」を実行していただけなんでしょうけどね。
でももしこれが「自分が当事者」だったらどうだろう?
なんて事も考える。
先細りの経済に不安な未来。まともに申告すれば貯金もできない。そもそも政府が自分の納めた税金をまともに使っているようには全然見えない。
それなら自分と、自分の親しい人だけにお金をあげるために「なんらかの抜け道」を考えたりはしないだろうか?
そんな時に税理士が「パナマのタックスヘイブン」の話を持ちかけてきたら?
なんて。
まあ、幸いにして僕には隠したいほどの収入はないので、そんな葛藤はないけど、そういう局面の人の気持ちを「100%否定する」ことはできない。嫌な話だけどね。
そんなわけで、自国の国民が飢えていようと、自分の家族や仲間にだけ財産を残して「ありがとう」と言われたい人がこんなにもいたというわけだ。
確かに「自分に見える(見たい)人」にだけ感謝されればそれでいい、という性質も人間の1部だ。
とはいえ、そのせいで苦しむ「見えない人(見てもらえない人)」が必ずいて、そういう人達の憎悪はドミノ倒し的に「次の不幸」を生んでいく。
なのでこの問題は本来許されることではないし、憎悪の流れは最終的に「自分だけがよければいい」と思って行動してきた本人に帰ってくる。
チャウシェスク元大統領やイメルダ夫人みたいな凄惨な末路とまでは行かなかったとしても、被害者の憎悪は「その人を決して幸せにならないように働く」ので、心穏かには暮らせないものなのだ。
じゃあどうすればいいのか?と言えば、例のごとく「少欲知足」「エゴは程々に」しかないんだと思う。
権力者や巨大企業の「中の人」がエゴを捨てられば世界は変わるか?と言えば、少なくとも少しは「前に進む」と僕は思う。
おそらくいつものスルーだろうけど、芸能人や科学者の失敗をあれほど袋叩きにする日本人が、今回の「パナマ文書」のリストを無視するのかじっくりと見ていようと思う。
どっちにしても絶望には慣れてる。
ご機嫌に事態を見守りつつ、「それでもできること」を続けようと思う。
美少女の歌しか聴いてくれない国なら、それに合うプロジェクトを立ち上げればいいだけなのだ。
大半の人が「巨悪の味方」をする国でも、「なんらかのやり方」は残っているのだ。
そんなわけで、今週はCバージンの4回め「あなたはどんな漫画を描けば売れるのか?」です。
沈没寸前の漫画業界にもまだ可能性は残っているのです。
では、今週も人生を楽しんでね!!
諦観と情熱をカクテルにしてキメて、いつもの太陽に感謝。
 山田玲司

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企画編集:山田玲司
矢村秋歩
発  行:株式会社タチワニ
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