絶望に効くお薬処方箋 漫画家 山田玲司 公式サイト

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コラム 2017.08.31

【第105号】親の嫌がることをやる

山田玲司のヤングサンデー 第105号 2016/10/10
親の嫌がることをやる

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へいへいへーーーい。
最近なんか文章が固いって言われたので、今週から「コミッカーズ」に書いてた頃みたいに砕けた感じで書いてみるぜ!
なんかこう「砕ける感じ」を出そうとしたとたんに、書いてみるぜ!とか、昔の少年漫画の主人公みたいになるのが悲しいね。
まあいいか。
去年から今年の頭にかけて新書みたいなのをずっと書いてたんで、文章が「である調」になりがちなんだよね。
なんだろうね、この「である」っての。なんかとたんに「なんでも知ってる感」が出るんで困るよね。
まあいいか。
そんなわけで、2回のヤンサン主題歌決定戦が最高に盛り上がったよ、ありがとう。
僕が振った「レディー・ガガのバッド・ロマンスみたいなやつね」という無茶な要求にもかかわらず、なんと応募総数23曲!
しかもこれ「優勝賞金も参加賞も何もなし」だからね。
つまりあの恐ろしくハイレベルな応募曲を作ってくれたみんなは、例外なしに「タダでもやる!」という最高にいかした連中だったわけだ。
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モチベーションは報酬額とは比例しない

「人は給料を上げたら上げた分だけ頑張るか?」という社会実験をすると、必ずしも「報酬を上げれば上げるほど頑張るわけではない」という結果が出るらしい。
「レンガを1個運ぶと10円貰える」という条件を「レンガを1個運ぶと1000円貰える」と変えたらそりゃあ1000円貰える方がみんな頑張る。
そういった単純労働に関してなら「労働意欲は報酬に比例する」のは確かだろう。
ところが「素晴らしい建物を作って欲しい」とか「感動する作品を作って欲しい」みたいな仕事では、報酬を10倍にしたら、その結果10倍いいものができるわけじゃない。
「労働時間の中の数%は自分の好きなことをしていい」と言って好きなことをやらせているのは確かGoogleだったと思う。会社の収益や自己報酬などに関係なく「やりたいこと」をやらせてもらえる時間があるのだ。
彼らはその成果を社員みんなに発表する。
その中から新しい事業が生まれることの方がはるかに多いらしい。Gmailなどもそんな「やりたいこと時間」の中から生まれたって話。
それは誰だって「お金は欲しい」に決まっている。
「そんなもんいらない」と言える人は、お金に困る状況にない人か、人の気を引きたいだけの淋しがりやだろう。
苦労して作った自分の曲が高く売れれば嬉しいに決まってる。
でも「自分の曲」みたいに「大事すぎるモノ」に値段をつけられると、萎えるのが人間。
僕も正直、自分の絵に値段をつけられるのはあまり好きじゃない。
だってその曲や絵は自分自身だったりするわけで、それが10万円で売れた、とかなった時「俺の価値はたった10万か?」なんてことを思いかねない。
今回の「無報酬でもやりたいんだ」という人たちの応募曲は、Googleの「やりたいからやる」と同じで、金や義務のためじゃないからこそ「純粋なパワー」に溢れてた。
その行為が「金銭報酬のため」ではない時、人間本来の力が生まれるんだよね。
つくづく「人間なんか金次第だ」なんて、単純には言えない。最高だよ。
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それは「誰の人生」?
そんな最高の夜のあとに、若い女性社員が過労死したという話を聞いた。
最高レベルの大学を出て最高レベルと言われる企業に入ったのに、あまりに過酷な労働条件で働かされ、心身ともに限界まで追い詰められていたらしい。
なんだか悲しすぎる話だ。
そんな彼女に「昔はそんな過酷な条件を越えて必死で働いたものだ。甘いのだ」みたいなことを言っているおじさんがいるらしい。
「高い給料と安定した職があるのに」みたいな事を言っている人もいる。
これまた悲しすぎる。
お金と安定のために頑張れることには限界があるからね。
アニメや漫画の世界でも想像を絶する過酷な現場もあるけれど、それがこなせる人達の多くは「やりたいからやっている人たち」なのだ。
確かに人生の局面の中には「やりたくないけどやらなければならない」という状況も訪れる。
でもそれは「死ぬほどの価値」があることではない。
昔、瀬戸内寂聴さんが「芸術家や小説家が自殺するのは仕方がない」と言っていた。
これは「自分が本当にやりたいことなら命をかける価値がある」と言うことだと思う。
いい大学、いい会社のコースは子供の将来が心配な「親」が設定しがちなコースだ。
それが成功して「いい人生」を送っている人もいるだろう。
でもそれが本人の「やりたいこと」と無関係だった場合どうなんだろう。
運良く理解ある親に恵まれていたらいいけど、なかなかそんな人ばかりじゃない。
親の嫌がることをしてるくらいの方が危機にも対応できるようになる。
「親の言っていることは聞くな」なんて言うと怒る人もいるだろうけど、昔の価値観に縛られがちな旧世代の「親」なんかより、聞くべきなのは「自分の声」だ。
主題歌に応募してくれた人達の曲からは、そんな「自分の声」がした。
だからこそまだその感動が覚めないんだよ。もう日曜の夜なのに。
それはともかく。
休みたい時は休もう。仕事より人間が大事。
そういう国にしていこう!
 山田玲司

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企画編集:山田玲司
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