絶望に効くお薬処方箋 漫画家 山田玲司 公式サイト

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コラム 2017.09.04

【第109号】自分を不幸にしてしまう言葉とは?

山田玲司のヤングサンデー 第109号 2016/11/7
自分を不幸にしてしまう言葉とは?

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ヤンサン美術展が盛り上がってます。
みんな頑張ってるし、せっかくなんでこの機会に自分の描いてきた漫画の原稿も展示しようかと思って過去の原稿を久しぶりに引っ張り出してました。
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僕は自分の過去の原稿も自分の本も滅多に見返さない。
基本的にいつも「次」に頭が行ってしまうので、過去はどうでもいいんだ。
なんて言いつつ本当の所は、うっかり過去作を見て「これはひどい」と思っても、もう直せないから「心の健康」に良くないのだ。
でも今回「アリエネ」の原稿を見て思った。
「なんだこれ、恐ろしくいいじゃん」
ここまでは先週の放送で話したけど、実はこの話「その先」があるのだ。
〜地獄のアリエネ時代〜
連載漫画は「大ヒットして最高の最終回で終わった」なんていう作品はそもそも奇跡みたいなもので、漫画雑誌で「春の新連載攻勢!第1弾!」なんて始まる連載漫画のほとんどが志半ばで打ち切られるのだ。
僕の漫画も自信はあるのに売れなくて打ち切られた漫画が多くて、こんなもの「頑張ったのにうまくいかなかった恋愛の思い出」みたい。なにしろ心の健康によくない。
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アリエネ回の時に話したけど、この「アリエネ」もまさに「志半ば」で打ち切りになった。
受験漫画で受験を描かないで終わりたくはない、って無理やり連載を伸ばしてもらったため、掲載は週間誌から月刊誌に移ったのだ。
とはいえ、その頃の原稿を見返すと、内容も絵も素晴らしい。
なんだかもう「魂」が込められている。
「何でこんなすごい作品が無視されたんだ!」なんて思ってしまう。
でもこの漫画はとにかく「届くべき相手」に届いていなかった。
おまけに当時の僕は「ブログ炎上」のトラウマで、完全にネットから撤退していた。
なので打ち切りが決まりそうな時「こうなったら都内近郊の書店に手書きのポップを描いて配りまくろう」なんて行動に出た時も、ドコモショップやら美容院やらにコミックスを配布しに行った時も情報は何も伝わっていなかったんだよね。
何しろツイッターのアカウントすら作ってなかったからね。(ニンニンのアカウントから情報を流したのみだった)
それでも僕は「いいものを描けば伝わる(売れる)」って信じていたわけです。売れなかったけど。
そんなこんなで「アリエネ」もまた自分の「厭世感」を高めるだけ高めて終わったわけですけど、今考えるとどうも自分にも問題がある。
僕は当時ネットにいる人達をまとめて「あいつら」と呼んで無視していたからだ。
〜許せないのは1部の人間〜 
自分のブログが炎上した時に湧いてきた「失礼な連中」や、だろめおんの些細な一言に絡んできた「嫌な感じの連中」ばかり目にして、嫌悪感ばかりが強まっていたから、これまた「仕方ない」とも言えるんだけどさ。
なんだか僕の友人の漫画家を(知りもしないで)とんでもなく酷く書いてるヤツもいるし、決まって上からwwwとか乙とか、彼の努力も知らないで嘲笑ってる。
匿名だからこその解放区だってことは知ってても、ムカついてしょうがない。
そんなこんなで「もうあいつらは相手にしない」と、僕はネットユーザーをまとめて切り捨てていたわけなんです。長いこと。
ところがです。
今回の美術展に参加してくれた人に会うと、礼儀正しくて、いい人ばっかりだ。
直接会うことができたヤンサンファミリーの人も恐ろしく感じの良い人ばかり。
「僕とよく似てるタイプの人」もいっぱいいる。
「まるであの頃の 俺じゃんか」みたいな人までいる。
おいおい、待てよ 。この人たちはそもそも「ネット」で僕を発見してくれたんじゃないのか?
彼らは僕がずっとまとめて排除してきた「あいつら」の中にいたんじゃないか?
「いいやつばかりじゃないけど、悪いやつばかりでもない」ってヒロトも言ってたし、そんなことわかっているつもりだったのに。
問題はネットじゃなくて「それまでの僕の考え方」にあったんだろう。
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〜人生をダメにする「あいつら」という考え方〜
わかっていても「知らない人の集まり」は、ついつい「あいつら」なんて言ってひとまとめに見てしまう。
外国との付き合いも同じで、色々な人がいるので、まとめて「あいつら」なんて言ってたらその先に共感も協力も「分かち合い」や「助け合い」なんて難しいのについついそんなふうに思ってしまったりする。
でも知らない人間の集まりを「あいつら」と言って排除(侮蔑)してしまうと、対立と孤立が待っていて、行き着く先には「不幸」しかないのだ。
〜スーツ野郎問題〜
そんなわけで、漫画家にとって代表的な「あいつら」と言えば「スーツ」(編集者)ですけどね。
今周の打ち合わせで「アリエネの原稿見てたら・・・」みたいな話をしてたら。
編集の熊ちゃんが「売れるかどうかは漫画の質だけじゃ決まらないんですよね」とか、
「頑張っていい漫画を作っても時の運で売れない事もありますから」とか言うんだよね。
結果を出せなかった僕に全ての責任があるわけじゃないって、わかっていてくれているのだ。
スーツ(編集者)も同様に全てが結果主義の冷酷な「あいつら」ではなく、「チームメイト」だし「友人」でもあるわけ。
しかもこういう理解のある編集者は意外と少なくはないんだよね。
そんなこんなで今週の打ち合わせで僕は「俺もくじけないで何度も挑戦するから付き合ってね」みたいな事を言っていた。
実のところ僕は編集者を本気で「あいつら」と思って壁を作ったことってほとんどない。
もしかしたら、そのおかげで長いこと現役の漫画家でいられたのかも、なんてちょっと思った。
なので、今週の放送も「あいつらネット民にむけて放送する」ではなく、仲間や後輩に話す気分でやりますね。
しかし寒くなったね。
ソファーで寝て風邪ひいたりしないようにね!
 山田玲司

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企画編集:山田玲司
矢村秋歩
発  行:株式会社タチワニ
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