インタビュー 2018.09.05

『CICADA』作画担当 漫画家バナーイ先生ロングインタビュー

漫画家山田玲司の最新コミックスCICADAの作画担当バナーイとはどんな人物か。
CICADA連載前夜から最新刊までを赤裸々に語るバナーイクロニクル。

バナーイBANAI

漫画家

久世孝臣takaomi kuze

山田玲司のヤングサンデー MC

結局仕事やってても漫画描いてしまうし「やめようかな」って思っても、やっぱり漫画描きたくなるんで。


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久世
今回のインタビューは『CICADA』の作画をおこなったバナーイ先生の登場です。よろしくお願いします。
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久世
バナーイ先生の漫画との出会いってどこからだったんですか?
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バナーイ
初めて漫画を描いたのは高校生ぐらいだったと思いますね。高校の時に漫画家っていうものに憧れを持って「じゃあ自分も1回描いてみようかな」って描いたのが始まりですね。
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久世
はじめに影響を受けた漫画っていうか、「かっこいいやん!」って思うキッカケになった作家さんとかいらっしゃるんですか?
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バナーイ
たぶんジャンプが漫画家っていうものを意識した最初の漫画ですね。
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久世
王道ですね。我々は『ジャンプ』黄金期みたいなところの最後らへんにいますもんね。
今でも迷ったら読み返す漫画ってありますか?
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バナーイ
ジャンプじゃないんですけど松本大洋さんの漫画はよく読みます。
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久世
『CICADA』ってとてもバンドデシネっぽいなって思ったりしてたんです。松本大洋さんもそういうタッチの時あるし、ニコラ・ド・クレシーさんといろいろしてたりするじゃないですか。そういう海外のアート系の漫画も好きなんですか?
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バナーイ
自分が漫画ちゃんと描こうと思った時に一番影響を受けたのが松本大洋さんなんで。僕のベースは松本大洋さんですね。
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久世
へー、意外!その時何でした松本大洋さん 。
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バナーイ
『ナンバーファイブ 吾』。『ピンポン』はもう終わってたんで 一気に読んで。『ピンポン』はたぶん僕の二十歳ぐらいの時のパラダイムシフトというか。こんな漫画あるんやっていう。
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久世
じゃあそういうのに影響を受けながら、個人的に書いてらっしゃったデビュー前の作品とかは、どういうテーマだったんですか?
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バナーイ
やっぱり『ジャンプ』の影響でアクション漫画というのが結構多くて。それにちょっと松本大洋さんのエッセンスが入ったような 。
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久世
でも当初目指されていた雑誌とかはジャンプ系列の方で。
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バナーイ
そうですね、『IKKI』とかに持って行ったんですけどけちょんけちょんにやられましたね(笑)
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久世
ははは(笑)
そのけちょんけちょんにやられたエピソードをできる範囲で聞いていいですか?
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バナーイ
原稿を持って行って、まずちゃんと読んでくれないっていう。
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バナーイ
「何か他に行きたい雑誌ある?」とか別の雑誌をすすめられるという
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久世
「いや、ここに行きたいんですけど !」ってね
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バナーイ
それがたぶん僕の小学館との出会いですね
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久世
それいくつぐらいの時なんですか?
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バナーイ
たぶん23か24だと思います。
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久世
バナーイ先生は逆境であればあるほど「バナァァァイ!!」って燃えるタイプなんですか?
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バナーイ
いやもう逆境になればなるほど和歌山が恋しくなる(笑)
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久世
よく次にいけましたね(笑)
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バナーイ
いろんなとこ行って「もし同じこと言われるんだったらそうなんだろうな」っていう。
そしたら案の定同じような事言われたんで。
「じゃあ今の自分のレベルはこんなもんなんやなぁ」って思って。
東京とか行ってるよりは和歌山で仕事しながらでもいいかなと。
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久世
その時は東京にいはったんですね。
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バナーイ
そうです。
(和歌山に戻ったあとは)作品がたまったら上京して持ち込みしてっていうのを繰り返して。
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久世
諦めるっていう選択肢はなかったんですね。
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バナーイ
ないですね。
結局仕事やってても漫画描いてしまうし「やめようかな」って思っても、やっぱり漫画描きたくなるんで。
「なんとか賞」とかあったら応募したくなるんで、ずっと続けてました。
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久世
不屈の精神ですね。
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バナーイ
諦める」っていうのが自分の中ではなかったですね。

弱々しい、どうしようもない、そんなセリフを主人公が言っているっていうのは僕にとっては新鮮で。


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久世
『CICADA』がデビュー作なんですか?
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バナーイ
そうですね。
デビューの定義が分かんないんですけど。
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久世
雑誌に載ったっていうのは何になるんです?
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バナーイ
『マガジンエッジ』っていう電子版に読み切りが載りましたね。
『CICADA』のに2〜3ヶ月前に。
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久世
なるほど。
それでついに『CICADA』に向かうわけですけど。
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バナーイ
そこはちょっと経緯があって。
デビュー作が原作付きでやってたんですけど、本当は連載になるかもっていう話だったんです。
けど、『マガジンエッジ』さんの中ではコラム読み切りだけで終わりにしようっていう話になって。
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久世
「私達別れましょう」って言われて(笑)
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バナーイ
そうですねw
連載だと思ってたのに、なくなってしまって。
どうしようかなって思ってる時にTwitter見てたら「SFで恋愛でメカの漫画家を募集してます」という山田先生のツイートを見て。

山田玲司のツイート

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バナーイ
それで山田先生ってどんな人なんだろうっていうのでゼブラーマンをみたのが、僕の山田先生との出会いですね。
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バナーイ
それが山田先生との出会いで。
その後に『CICADA』のコンペが始まる。
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久世
コンペってどういう形で進行していくんですか?
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バナーイ
まず初めに自分の完成原稿を見せてくれって言われて。
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久世
『CICADA』に関係なく?
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バナーイ
はい 。
完成原稿を一次審査で送ったんですよ。
『マガジンエッジ』の読み切りになったものを。
それで、一週間ぐらいしても連絡なかったんで、これ落ちたなと。
思ってたらメールが来て二次審査に進みました。
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バナーイ
それでシカーダのネームが3、4ページ送られてきて。
そのページっていうのが衝撃で。

レムが「寂しくて死にそうだ」って言うシーン。
1話だったんですけど。
その弱々しい、どうしようもない、そんなセリフを主人公が言っているっていうのは僕にとっては新鮮で。

ちょっと衝撃受けて。「これは是非ともやってみたいな」っていう思いで作画に挑んだんです。

そのまま山田先生の雰囲気で書くのもいいかなって思ったんですけれど、メカっていう部分があったのでここはやらなあかんと。

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久世
「そこは俺がやらなあかん」と。
ちなみにバナーイ先生はメカ、 SF、 恋愛やったら、やっぱメカが一番得意なんですか?
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バナーイ
メカが得意ってわけじゃないんですけど、僕は空気感というか、その世界の持ってる雰囲気っていうのが自分の伝えられる……なんて言うんでしょ。
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久世
強み?
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バナーイ
そうですね。
熊谷さん(担当編集)に「バナーイさんの雰囲気が出るから。メカとか人っていうんじゃなくて、世界の熱量が伝わるから、それを大事にしてほしい」と言われて。まだよくわかってないんですけど(笑)
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久世
自分なりに「山田先生の通りじゃなくて、メカはちょっと頑張って描いてみよう」って。
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久世
それでどれぐらい待ったんですか?
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バナーイ
10日以上待ちました。
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久世
まじで(笑)
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バナーイ
山田先生のツイッターをずっとチェックしましたね。
全然連絡来えへんので「これまた落ちたなー」と思ってたら連絡が来て。
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バナーイ
「次はこれを線画にして完成原稿としてまた3ページ書いてください」っていう。
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久世
同じところ?
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バナーイ
また別のところを。
「まだやるんか」と(笑)
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久世
「三次審査きたで」と(爆笑)
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バナーイ
これはいよいよ来たなと思って。
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久世
「どうせまた10日間またされるんやろ」みたいなね(爆笑)
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バナーイ
そうですね(笑)
本当にこれが最後やなと思ったんで、じゃあ今度はアクションシーンで描いて。
インディゴのアクションシーンがあったんですけど、僕おじさん書くのが好きなんで、ここはストロングポイントになるかなと。
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久世
1話ですか?
(火炎放射器を)カチャってやるとこ?
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バナーイ
そうです、そこです。
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久世
あそこかっこよかったですね。
三次審査ではどれぐらい待たされたんですか?
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バナーイ
その時はたぶん2週間以上待って。
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久世
どんどん長くなってるやん(笑)
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バナーイ
「もう絶対これは落ちたなー」と。
「せめて合否を教えてください」ってメールして、それでもうんともすんともなかったんで。
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久世
こわ〜。
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バナーイ
編集者あるあるなんですけど「無視する」(笑)
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久世
無視すんなっていう(笑)
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バナーイ
「絶対落ちたなー」と思ってたら電話かかってきて「この度はおめでとうございます」と。
今まで落ちてきたことがほとんどやったんで、「また落ちたんやろなぁ」と思って取って。そしたら受かってたんで自分で拍子抜けで。
その時まだ実感が無くて「受かったんか〜」ぐらいの。
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久世
その時まだレイジさんには会ってないんですよね?
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バナーイ
会ってないですね。

もし20年やれてたらちょっとイキろうかなと思います(笑)


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久世
レイジさんに会ったのはいつ頃なんですか?
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バナーイ
その3週間後なんですけど。
上野で待ち合わせしてて、山田先生が先にカフェに着いてると。
僕は編集さんに引き連れられてカフェに入ったらなんかもうオーラがあるんですよね 。
やっぱりさすがにオーラがあって、ちょっと圧倒された。
僕が初めて会った漫画家って山田先生だと思うので。
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久世
ほかの漫画家さんに会ったっていうことはあります?
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バナーイ
僕の知り合いの知り合いが実は漫画家でお会いしたんですけど。
山田先生みたいなオーラを持ってる人はそんないないですよ。
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久世
レイジさんの印象って、作品の印象と本人の印象ってどう違いました?
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バナーイ
山田先生って写真で見るより背が高くて、すごい雰囲気があって、「おわー!」ってただただ圧倒された。
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久世
歴戦の勇者みたいな。
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バナーイ
レジェンド漫画家がきた!って
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久世
たくさんの戦場を潜り抜けてきたみたいな雰囲気ありますもんね。
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バナーイ
やっぱり10年20年と続けられてる方っていうのは、本当に少ないと思うんで、言葉にも重みがありますし、発想とか漫画に対する想いっていうのが「そんなこと考えてるんやな」って。
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久世
僕もレイジさんと話してて思うのが、自分もお芝居のほうで脚本とか書いてるんですけど。
「俺全然考えてへんのやなー」って思うぐらい量と勢いがあるじゃないですか。
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バナーイ
山田先生っていう漫画家さんに触れて、自分が今までやってた事っていうのはやっぱ足らんかったなって。
ここまで考えてされてるからこそ生き抜かれてるし、ずっと応援される方になってるんだなって。
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久世
これから会いたい漫画家さんはいるんですか?
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バナーイ
僕は基本的には漫画家さんには特に会いたくない (笑)
作品と本人が比例しない漫画家さんが結構いると思うので。
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久世
作品と人間性っていうのは別に関連しないですもんね。
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バナーイ
そういうのを思いたくないから。
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久世
どこか達観してる感じですね。
漫画家として大事にしてる事ってありますか?
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バナーイ
「読者の人に向けて書くのがいいのか」とか、「読者の人の要望にどこまで答えるのがいいのか」っていろいろ模索して、それをずっと繰り返してます。
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久世
じゃあ20年後レイジさんみたいな歴戦の猛者みたいな空気をバナーイさんも出していきたい?
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バナーイ
もし20年やれてたらちょっとイキろうかなと思います(笑)
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久世
イキろうかなって(爆笑)

『CICADA』の19-20話ぐらいは山田先生の遺言みたいな会心のネームやと思ってるんです。

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久世
バナーイさんの特徴として聞いておきたいんですけど、地方に住む漫画家としてやっていますが、やりやすさやりにくさはありますか?
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バナーイ
やりやすいのは電話で済むんで待ち合わせするとか、その時間が省けるというところが。
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久世
あんまり人と会うのが好きじゃない派ですか?
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バナーイ
別にいいんですけど、人と話したりしたらやっぱり疲れる(笑)
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久世
ははは(笑)なるほどね、エネルギー使うし 。
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バナーイ
電話だったら話し終わったらサクッと終われますよね。
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久世
じゃあ和歌山のいいところは?
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バナーイ
東京っていろいろ目指してる人が集まる場所で、競争が激しいっていうのがあったり。みんなおしゃれですし。そういうのに疲れるっていう。和歌山ってそういうのがなくて。
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久世
ついつい比較しちゃいますよね。みんなめっちゃ頑張ってるやんとか。
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バナーイ
和歌山って自分のぬるさとかが、そのままでいられるんで。
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久世
頑張る時は自分だけで頑張ったらいいしね。
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バナーイ
そう、だから自分だけを見てられる。あとは一番大事なのが、ご飯とか衣食住を親に任せられるっていう(笑)
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久世
はははははは(爆笑)
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バナーイ
これは強いと思います(笑)漫画描くだけに集中できるんで。
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久世
ちなみに何フェチなんですか?
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バナーイ
えっ?女性ですか?
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久世
女性以外でも、機械フェチでも電柱がめっちゃ好きとか、「俺フェンス見たらやばい」とか描いててめっちゃ楽しいもんとか。
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バナーイ
背景ですね。僕が好きなのは。
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久世
もちろんレムとかロルカの顔これいいなーっていう時もあるんですけど、雰囲気って背景から出るからじゃないですか。そこに何かのフェチはある人やなっていうのは思ってるんですよ。
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バナーイ
山田先生の熱い決め台詞と 、キャラクターと背景の上手いことマッチする時が、たぶん一番決まったなって。結構最終話は自分の中では…
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久世
100バナーイぐらい?
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バナーイ
200バナーイぐらいですね(笑)
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久世
200バナーイでました!!今の自分の持ってるもん全部置いてこれたっていうことですよね。素晴らしいですね。

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バナーイ
『CICADA』の19-20話ぐらいは『レディプレイヤーワン』じゃないですけど、山田先生の遺言みたいな会心のネームやと思ってるんです。それに僕も応えやなあかんと思って。20話(最終話)が一か月以上かかりました。ほんとギリギリのところで。最終話に熱量こめるために1回休載入れて、最後は自分のできることを全部しようって。
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久世
淡々と話しててすごい落ち着いてますけど、めちゃくちゃ情熱的ですよね。
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バナーイ
やっぱり『CICADA』っていうものに対して思い入れもありますし、山田先生のネームに応えなアカンっていうのが僕の中にはあって。読者とか関係なく、自分が今できることをやろう、全部最終話にぶつけようと。
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久世
この前のインタビューは加藤オズワルドさんだったんですけれども、オズワルドさんもシカーダの最終選考まで残って。
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バナーイ
まじすか!むしろオズさんでよかったんじゃないですか(笑)
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久世
なんでや!知らんがなそんなん言われても(笑)オズも自分なりの理論で「僕はここを狙った方がいい」とかすごく戦略的に行っていて。バナーイさんもすごく落ち着いておっとりしながらも情熱を持っている。人と比較せずに自分のやれることをやろう!っていう地に足ついた感じで和歌山でやってるのが、とってもレイジ先生の相棒っぽいなーっていう感じがしました。
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バナーイ
ありがとうございます。僕もオズワルドさんの世界観がすごい好きなんで。オズワルドさん押しで。
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久世
じゃあ会いたい漫画家さんも。
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バナーイ
オズワルドさんです(笑)
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久世
おらん言うてたやん(笑)じゃあ最終話も含めてでいいんですけど200バナーイ中の200バナーイってどのコマなんですか?
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バナーイ
あー、ちょっと4巻ありますか?

200バナーイのコマを探し始める
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バナーイ
色々あるんですけど、まず扉絵。
200バナーイの扉絵
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バナーイ
ここも200バナーイ。
200バナーイの4巻159-160ページ
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バナーイ
ここも全体的に200バナーイ。
200バナーイの4巻161-162ページ ※ここからはネタバレ防止のためモザイクをかけてます
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バナーイ
ここも200バナーイ。
200バナーイの4巻163-164ページ

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久世
全ページやん!!
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バナーイ
ちょっと待ってくださいここ全部200バナーイですね。

200バナーイの4巻165-166ページ

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久世
やばいやばい(爆笑)
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バナーイ
あ、ここは500バナーイですね。

500バナーイの4巻165-166ページ

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久世
500バナーイでました!!じゃあそれでええやん(笑)
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バナーイ
ここも200バナーイぐらいですね。

200バナーイの4巻165-166ページ

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久世
じゃあもう一番バナーイが高いやつ探っていきましょう(笑)
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バナーイ
この顔が、ここでレムが成長したというか、今までのレムとは違う。

4巻169ページのレムの顔に注目

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久世
1個抜けましたよね。
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バナーイ
ちょっと大人の顔になってる。「俺は貧乏ですぐ折れるクズ野郎なんだよ〜」っていう姿から、一歩進んで「待ってて」って言う、ここがレムの到達点で。それでロルカの500バナーイは「全部好きよ」のここかなっていう気がしてて。ここが物語としての到達点かな。レムの到達点とロルカの到達点、あと物語としての到達点 。
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久世
ここがもう800…いや8万バナーイかなっていう。
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バナーイ
僕この後どうなるか知ってるんですけど。
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久世
ええええ!!!ちょ、描いてよ〜。描いて発表してよ~。
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バナーイ
クラウドファンディングお願いします(笑)僕にお金をください。
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久世
知ってるとこまでは描けますと(笑)

「世界は変えられやんけど、大事な人だけは救ったよ」って。

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久世
1巻で「だから俺は貧乏ですぐ折れるクズ野郎なんだよ。でもプライドだけは高いし〜」って言って、「でもそれでも好きって言って欲しいの?全部好きよ」ってあったじゃないですか。
映画とかアニメとかでも、最初のシーンに戻ってくる事って結構あるじゃないですか。
でもこれ漫画やからもう1回書くじゃないですか。どうだったんですか?あそこ戻ってきたーみたいな。
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バナーイ
これはエピソードがあって、山田先生のネームが1巻の始めの時とちょっと違ったんですよね。
「それでも好きって言ってほしいの?」のあとにロルカがレムの手を握るっていうシーンがあって。
これが入ることによって1巻とは違うっていう僕の中のイメージがあって 。
山田先生の描いてる心境が1巻の時の『CICADA』と、最終話の『CICADA』が違うんやなーって感じたんで。
たぶん前向きな終わりになってるなと。
どうしようもなくてこういう状況になった。それでも多分ロルカは前に向かおうとしてる。
だからこそレムの手を握って「全部好きよ」っていうセリフを言うと僕は思ったんです。
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久世
顔も違いますもんね。
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バナーイ
ほんまはもっとズタボロで倒れた「全部好きよ」だったんです。
でも僕の中では「山田先生はきっと捉え方が変わったんだろうな」って思って、「じゃあ僕はそういう絵を描こう」と思ってこういう「全部好きよ」になりました。
編集さんに相談して「これでいいですか?」っていう話をしたら「僕もこれでいいと思います」っていう判断が出たので。
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久世
同じカットにならへんかったのがとても素敵やなって思いました。
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バナーイ
ただ同じことをなぞるっていうよりも、もっと伝えられるものが変わった。
だからこそ自分はこの絵を選びましたし、違う受け取り方を読者の方もしてくれるのかなと思ってやってみました。
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久世
1年かけてその答えに行ったっていうことですよね。素晴らしい。『CICADA』二部やるんであればバナーイ先生の中ではどんな話にしたいですか?
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バナーイ
たぶんこれはバトンをつなぐ話なのかなと思いまして。だからロルカからレムにバトンが渡って、そのバトンを今度レムがこの世界で誰に渡すのか、どういう世界を見ていくのか。
それが僕が山田先生と見せてもらいたいなって。
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久世
ええこと言うよねぇ。
ええこと言うやん。ちょっと泣きそう。
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久世
思い入れのあるキャラクターとか自分に一番近いキャラクターってありますか?
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バナーイ
僕にとってはこのレムっていうのが、主人公像を変えたというか。
こんなに何もできやん、なんかウジウジしてる…
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久世
ほんまにちょっと優しいだけの人やもんね。
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バナーイ
これが主人公として成り立ってるっていうのがびっくりして。
どうしても僕が読んでた漫画っていうのは王道で、主人公が成長して「どう壁を乗り越えていくか」っていうのがあるんですけど。
レムは違って、進んでるのか進んでないのかよくわからないような、でも時々ハッとするような顔を見せたり、「なんかやってやろう」っていう、そういう思いがある。
レムがやっぱり自分の投影じゃないですけど思い入れがあります。
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久世
アニメだとこういうのをナヨナヨした主人公もいるじゃないですか。
『エヴァンゲリオン』みたいな。
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バナーイ
『エヴァ』とか『エウレカ』って結局主人公がどうにかできてしまう話なんですけど、『CICADA』ってレムが結局何もしない。
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久世
別に初号機にも乗らへんしね。
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バナーイ
どうにかするのはロルカで。レムは結局何をしたっていうと、ロルカの心を救った話なんじゃないかなって。
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久世
ぞくぞくするなあ。
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バナーイ
それが僕にはすごくかっこよくて。世界は変えられやんけど、大事な人だけは救ったよっていうのが。
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久世
自分も大事な人だけは救おうかなって。
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バナーイ
いないですけど(笑)
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久世
メカの書き込みやデザイン設定、科学考証などこだわったところはありますか?
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バナーイ
乗り物は基本ビートルとかモトコンポとか(実在のものをベースに)使ってたんですけど。
それ以外はあえてリアルにあるものからいろんなところを外してて。
銃器とかは結構ファンタジーにしてます。世界観をふわっとした感じにしたかったんです。銃器とかまでリアルにしてしまったら、人殺すシーンとかもあるんで結構生々しいかなと思って。
山田先生からも「あまり人殺すシーンをちゃんと描かないでほしい」っていうオーダーがあったので。
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久世
ロルカの髪飾りが途中なくなり、最終話に近づいたとき髪飾りが戻ってるのは意図があるんでしょうか?
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バナーイ
これはちょっといろいろあるんですけど。
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久世
なんですか。
言ってごらんなさい。
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バナーイ
「ロルカを普通の女の子に見せて欲しい」と、3話ぐらいの時に山田先生から情報が入ってきて。
もう髪飾りつけてるしなー…って。3話まで来てるしなーと思って。こっそり1つ外して、その次2つ外して。
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久世
だんだんと外したんや(笑)
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バナーイ
最終話になって「でもやっぱりつけたいな」って戻した。やっぱ始めつけてたしな、これもどしてやろうと思って。
そーっと戻しました(笑)
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久世
バレてないと思ってる?
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バナーイ
いやバレてると思ってます(笑)バレてるとは思ってますけど、でもそこはお互いで。お仕事でやってますんで。「これは絶対やりたい」っていうお互いのバランスですよね。
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久世
たしかに。「ごめんやっぱり絶対に髪飾り消して」って言われてたら消してますよね。
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バナーイ
そうですね。削りますけど。そーっと徐々に小さい髪飾りから大きく戻してみたいな(笑)
ただ、外したことによってみんなが「髪飾りをつけてほしい」っていう要望があったんですよね。「あれ可愛かったのに」って。じゃあもうその声を信じようと思って。
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久世
「つーけよ」って(笑)
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バナーイ
「最終話に向けてつーけよ」って(笑)
たぶん3巻のレムとロルカの逃避行が始まってからまた付け直してます。あそこから最終決戦に戻るっていうのが大体分かってたんで、やっぱつけやなあかんよなと。
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久世
ちなみにレムのそばかすなくなったのは?
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バナーイ
1巻描いた時点で、レムの顔の線とか、そばかすとかが山田先生からノイズに見えるという意見をもらって。ものがはっきり見えなくなるっていう話をしてて。僕もそうやなあと思って。
弱々しいレムっていう意味で記号としてそばかすはつけてたんですけど、だんだんレムが5話6話7話といくに従って成長してて。じゃあもうそばかすいらんかなあと思って、外しだして。
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久世
また徐々に?
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バナーイ
徐々に(笑)
最終話で「でもやっぱりレムはそばかすやな」って思って。ちょちょちょーってわからんようにまたつけだして(笑)
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久世
いやわかるて(笑)
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バナーイ
つけてる時はノイズにならんようにつけてるつもりではいるんですけど。
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久世
ノイズだった時期のそばかすのつけ方とは変えてるで」っていう。
「きちんとしたそばかすやで」と。
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バナーイ
そうです。ちゃんとしたそばかすに。
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久世
だんだん減らしてだんだんつける。
それちょっと作画の人のいたずら心っていうのを楽しませていただきました。
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久世
バナーイ先生の絵って連載で描いてる期間に作画がどんどん変わっていったと思うんです。
後半になるにつれてだんだん良い感じに変わっていってると読んでるほうは思ってたんですが、その辺の手応えっていうのは描いてる本人としてはどういうふうに思っていたんですか?
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バナーイ
これも試行錯誤なんですけど、自分の中では「1話が結構きたぞ!」と手応えあったんですけど、世間の反応では1話が一番きてなかった、っていうのをすごい言われたんですよね。
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久世
ちょっと読みにくいと。
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バナーイ
「あれ?俺これがいいと思ってたのに…」って。
そこから自分を貫くよりも読者の声を聞いた方がいいかなって考えて。山田先生からもちょっと見えにくいっていう話を聞いてたんで、変えてみようかなって思って変え始めたのが 5話〜8話とか。
線とかもだんだん減らしていってて、3巻ぐらいの時ですかね。そしたら逆に今度は「線が少な過ぎる」っていう意見が出てきて。前の方が良かったって。情熱みたいなものがなくなってきたって言われ始めて。
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久世
見やすくしようとしてんのにって(笑)
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バナーイ
でもそれも確かにそうやなあと。
両方を納得させるのは難しいかもしれない。けど、僕はお金もらって仕事してるんで、せめて納得してもらえるものは作りたいなと思って試行錯誤して。
僕の中で20話が答えで、自分の描きたい絵っていうのはこの辺りかなっていうのが見え始めた。まだ全然見え始めた段階なんですけど、見え始めたところで終わってしまった。
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久世
ありますよね。やっとわかってきたっていうところで。
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バナーイ
だからもうちょっと書きたかったなっていう思いがありますね。
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久世
連載中に一番嬉しかったことは何ですか?
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バナーイ
僕は普段ほぼ家から出ないんですけど、サイン会を地元でやった時に、10年ぶりぐらいの人らが応援しに来てくれて「久しぶりー」みたいな。僕にとってそういう漫画を描くことによって、今まで縁が途切れてた人が、自分の周りに来てくれたというのが、漫画が繋いでくれたじゃないですけど。
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久世
おー!『CICADA』っぽい!!
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バナーイ
応援してくれてるっていうのが、やっててよかったなって。
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久世
連載が終わったこと以外に悔しかったことは何ですか?レイジ先生になんか言われてちくしょう!みたいな。
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バナーイ
ちくしょうと思ったのは僕の力不足もあるんですけど…やっぱり終わってしまったっていうのが。
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久世
やっぱりそれ以外にないのか。
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バナーイ
20話ぐらいの自分で1話から描けたらどうやったんやろなぁとか。
また違う世界があったんかなぁとか。初めからある程度受け入れられる絵が描けたら良かったんかなぁって思ってるんですけど。
僕の絵って最近の流行りでは全然ないと思うので。逆に今風の絵師さんが描いたらどうなるんかなぁとか。
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久世
全然想像つかないですね。
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久世
じゃあこれで最後の質問になりますけど漫画家を目指してる人にアドバイスを。
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バナーイ
僕もまだ全然漫画家として歩けてるとは思わないんで、「色々悩んだりして一緒に頑張っていきましょう」っていうか。面白い漫画描けたらいいなって。みんなでやってやろうぜって。
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久世
じゃあ今後もよろしくお願いします!
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バナーイ
よろしくお願いします!

最後に、山田玲司への質問

バナーイ先生から山田玲司へ『普段聞けないけど聞きたかった質問』を預かったので、本人に聞いてみました。

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バナーイ
山田先生がもしバナーイの編集者さんだったら、どんな漫画を描かせてみたいと思いますか?

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山田玲司
バナーイ君に描いて欲しいのは、やっぱり「和歌山」です。
例えば「和歌山で巨大ロボットを造る話」とか面白いかも。
自分の周りの実在の人物をモデルにして欲しいです。
和歌山が大阪と戦うとか、和歌山が東京と戦うとか、戦いは「ロボットコンテスト」とかの競技にしたらいいかも。

彼の武器はメカと和歌山だと思うので、それもありだと思います。

ヤンサン大阪合宿中の大阪港でのバナーイポーズ

バナーイ先生ありがとうございました!

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バナーイ

漫画家

漫画家
2016年より月刊!スピリッツにてCICADAの作画を担当(原作 山田玲司)。
和歌山在住のご当地漫画家として活躍中。

バナーイ先生からのコメント 「ヤンサンファミリーの皆様、応援ありがとうございました!」
Twitter @banaicicada

久世孝臣

山田玲司のヤングサンデー MC

演出家・詩人
創作集団ナズ・ラヴィ・エ主催。
http://kuzetakaomi.weebly.com/

主に舞台作品の演出・脚本、詩作を手がける。

場所や参加する人間の表現ジャンルを問わない境界線を超えた共同制作を得意とし、それぞれの良さを活かしつつ確固たる一つの世界を構築することに定評がある。 表現における言葉の可能性、言葉における意味の領域の拡張、自身が掲げる「身体性を持った言葉」を用いてイマジネーションの可能性を追求する。

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