【第212号】「悪い時期」の過ごし方(最新版)
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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。
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それにしても今年は、長年の夢が叶う事が多かった。
フェスでのバンドもそうだし、「手塚治虫イベント」では念願の舞台役者をやれたし、次は「愛まどんな」さんと一緒に絵画展をやる。
古い友人きたがわ翔と番組も始められたし、素晴らしいボイスコミックも出来た。
相変わらず結果が出ない仕事もあるものの、自分の人生の中でもかなり「幸運な時期」に入った感じがしてる。
こういう時期もあるけど、その逆に「何をやってもダメな時期」ってのも長かった。
昔、瀬戸内寂聴さんが「不幸は群れをなしてやってくるけど、幸運も群れをなして訪れる」みたいな事を言っていたけど、人生はそういうものらしい。
【冬の過ごし方】
何度か書いたけど、最近また色々考えが更新したので、そんな「人生の冬の時期」をどう過ごすかって話を書こうと思う。
「何をやってもダメな時期」はいつか終わる。
ほとんどの場合「本当に酷い時期」ってのはいつか終わる。
100億円の宝くじに当たったり、アラブの石油王が結婚を申し込んできたりする事はないけど、とにかく「最悪な季節」は終わりが来るのだ。
「あの時死ななくて良かった」なんて思う「幸せな日」は案外来る。
焦って「もう一生報われないんだ」なんて思ってしまうと苦しくなって「冬」を乗り切れなくなるのだ。
何度も「冬の季節」を越えてわかった事がいくつかある。
【冬を越えるコツ】
これはいくつもあるので、今回は2つ紹介します。
そこから先は、放送やメルマガで時々やりますね。
・夏のつもりで生きない
人生には「夏の時期」もある。
何もかもうまくいっていた時代。自分は若くて、お金もあって、異性にモテていた、なんて過去がある人は、その後が大変だ。
実家が大金持ちだったり、高校の全国大会とかで優勝したり、学校で1番の美女に告白されたり。一発ギャグが全国的に流行したりするのも「人生の夏」だろう。
でもそんなものは必ず終わりが来る。
そして人は「過去の自分」と「今の自分」を比較して、勝手に落ち込む。
そもそも「幸運」は「運」であって、自分の力ではない。
もちろん多少の努力なんかはしただろうけど、そんなのみんなやっているのだ。
自分の努力で切り開くことができる「範囲」ってのもある。
でも「容姿」や「出身地」や「親」なんかは自分では選べない。
まさに「運」が支配する世界に僕らは住んでいる。
「運のいい人」を見て妬む必要もない。
どんな人にも「冬が来る事」は決まっているからだ。
冬が来たら覚悟を決めて「冬ごもり」をするしかない。
これは「時代」もそうで、歴史上何度も「冬の時代」はあって、それは個人の力では変えられないものなのだ。
なので、大事なのは「夏のつもりで生きない」という事だ。
夏は薄着で寒くないし、スイカも食べられる。
それを冬にもやろうとするから面倒な事になる。
冬に薄着でいるのは光熱費もかかるし、スイカは高い。それなら厚着を楽しんで、みかんを食べてればいいのだ。
それは「終わりのない穴」なのか
いつか抜ける「トンネル」なのか
それもまた「運」が決めるのだけれど、とりあえず生きてなければわからない。
「春が来るまで生き延びる」
どうせ生きると決めたなら「ご機嫌」でいく。
これが「ヤンサンマナー」だ。
そしてほとんどの闇は「無限の穴」ではなく「いつか抜けるトンネル」なのだ。
・「間」をとる
少し前に北野武さんが「間」の大事さについて書いた本を出した。
自分に自信が持てない局面では、人はどうしても「間」が取れない。
自信と余裕がある人は、絶妙な「間」を取ることができる。
北野さんの論は広義の「間」の話なのだけど、とにかくこの「間」ってのは「冬の過ごし方」にもかなり重要だ。
うまくいってない冬の時代は、基本的に余裕は持ちにくい。
そんなの当たり前だ。
うまくいかないから、お金はない。お金がないと快適な所では寝られないし、いいものは食えなし、将来も心配だ。
身体にも気を使えないし、友人と会う気分もなくなる。
目に入るのは、大した苦労もなく成功したように見える奴らの話ばかり。
自分と年の変わらない奴が年収何億とか、累計何千万部とか。
「全員殺す」という気分が何度もやってくる。
これはもう「普通の事」で、誰もがそんな気分になった事があると思う。
問題はこの時の態度だ。
この時の振る舞いが「冬」を長引かせる事を知っておいた方がいい。
こういう気分だと、ついつい「もうやってらんねえ」と、ささいな事でブチ切れ「あいつは最低だ」とか、人の悪口を言いまくり、偏見と思い込みでネジ曲がったままの頭で人を攻撃してしまいがちだ。
そうしたい気持ちはわかる。
本当によくわかる。
そもそも先週の「B’z」も「ジブリ」も「エヴァ」も僕は大嫌いで、知りもしないでそれらを否定していた。
そのすべてに「違う側面」があり、自分と重なる部分だってあるのに、とにかく余裕がないから見ようともしないで毒づく。
仕方のない事だけど、「こういう態度」でいると何が起こるだろう
自分の世界が狭くなり、人間関係は寂しいものになり、同じ様な「ネジ曲がり人間」ばかりと不毛な時間を過ごす事になる。
確かにそんな「ネジ曲がり」も大事だ。
非属の才能ではその価値を書いてる。
でも、それだけでは「新しい出会い」「新しい情報」「新しい可能性」は生まれ難い。
「どうすりゃいい」
すぐに反発しないで「間」を取るのだ。
恋愛作法で言う所の「村上春樹・そうかもしれない作戦」と同じやつだ。
もしくは「孤独のグルメ・こういうのもあるのか作戦」だ。
〈切れる前に帰る〉
〈言い返す前に寝る〉
〈ペルム紀の大量絶滅の話を考える〉
など、なんでもいいから、その時の自分の感情を相手にぶつけずに「時期を待つ」のだ。
嫌いなもの、ムカつく奴、認めたくない連中、なんかを許せないのは当然だ。
でも。
言わない。
その気持ちの多くは「無知」と「冬」が原因だからだ。
「そういうの我慢してたらおかしくなりますよ」
というのもわかる。
なので「この人なら言っても大丈夫」という人を確保して、聞いてもらう。
後は耐えるか、いい映画や音楽に触れるとかする。好きな場所へ行く。好きな事をする。
言い返さない自分を褒めまくる。
そんなこんなで、勝手に春は来る。
今この瞬間「冬」にいる人達に言いたい。
「それはただの冬で、あなたが悪いんじゃない」
自分を責めないで堂々と生きて欲しい。
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平野建太
Written by
播磨 貴文
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