コラム 2017.06.26

【第40号】詩人に会える島

ここの所、多忙過ぎておかしくなってきたので、ペン入れ直後に沖縄に行ってました。
ただでさえ混乱しがちなのに、本当に政治もデタラメでそれに関する報道もデタラメ、ネットで問題になっている社会問題は大手新聞もテレビ、ラジオでは「無い事」にされている異常事態。
覚悟は出来ているものの、さすがにムカついて仕方ない。
戦争法案で時代が大きく変わろうとしていて、全国の若者がついに路上で「いいかげんにしろ」と声を上げたというのに、ほぼ全局がそれを無視していたという。
無視しないで報道している沖縄の新聞は潰せと言う人がいるらしい。
そんなタイミングに煙幕の様な「少年A手記」発売ときた。
完全にスピン(世論操作報道)に見える。なので、前回の放送では相手にしなかった。
ギリシャが破たんしようとする中、平気で2000億円をはるかに越える「お買いもの」をし続ける政府(の仲間たち)。全てを貧しい若者と田舎の人と未来の子供に背負わせて「仲間たちの利益」のために突き進む「自公の絆」とその仲間達。
一方で謎の死が相次ぐ?人口減少は過去最高?謎の蒸気?自衛隊員の自殺?経済的徴兵?
活火山の横で核発電所を稼働?
まともに考えてたら心が壊れそうだ。
そんな時は「とりあえず自然のあるところ」に行く。
沖縄に行く余裕のない時は上野の森でも、明治神宮でもいいから「緑のある所」つまり「ノイズの少ないところ」に行くのだ。
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そんなわけで、今回も沖縄。北部の小さな島に行ってきました。
静かかと言えばその逆で、張り裂けんばかりの蝉の大合唱、カエルの大合唱です。
外で飲んでいると、巨大なヤドカリが歩いています。蚊がいないのはトンボやヤモリが多くて大活躍しているせいでしょう。
蝉の声で話が聞こえなくて、大声で話しているとまるでクラブで話してるみたいな気分になります。
ふと、蝉が泣き止むとびっくりするくらいの静寂につつまれて、大声で話していた事がおかしく思えます。
沖縄は産業が乏しくて貧しい暮らしの人が多いので、実はみんな働き者で真面目です。
羽目を外す人や、怠けてる人もいますけど、基本は「ずるいこと」をしません。
美味しい島野菜を作っているのに儲けようという気がないので、販売戦略がのんびりしています。
僕はそんな彼らが歯がゆくて「こういうルートで、こんな風に宣伝すれば何倍もの収入になるのに」なんて、時々考えてしまいます。
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そんな沖縄滞在中のある日、Aちゃんと知り合いになりました。
彼女はおそらく50代。病気で大変だった人です。お酒は飲むけど、あまり喋りません。
海から上がってベンチに座っていたらAちゃんが来ました。
可愛いサンダルを履いていたので「いいね」と言うと、Aちゃんは「いいでしょ?紫色なの」と言いました。
「紫好きなの?」と聞くと「うん。紫好き、これもそう」と言ってメガネのフレームを指差しました。紫色のフレームです。
「何色好き?」と、Aちゃんが聞いてくれたので「青と緑の間の色が好き、ここの海の色」
「海の色っていいよね」と僕が言うと、Aちゃんは「私は紫がいいな」
と、ニコッと笑って、
「海が紫色だったらいいのに」と言いました。
綺麗な風が頭の中にまで吹いて、魂の汚れは流されていきました。
少し前まで「こうすれば儲かるのに」なんて考えてた自分がバカに見えてきます。
「やっつけろ」だの「儲けろ」だの「売れろ」だの・・・・蝉の声と波の音に消されて、僕は目を覚ましました。
これが「詩人の力」です。
そして出版だのアップロードなどしなくても「詩人は詩人」なのです。
核と金の魔物に乗っ取られたデビルも、戦争ビジネスデビルも、詩人に勝てるものか。
僕もAちゃんに恥じない「詩人」でいたいし「私人」でいたいと思う。
こうして僕は再び「狂気の時代の諸問題」に向き合うパワーを取り戻した。
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ちなみにその40人しか人のいない離島には昼前に300人くらいの観光客が来て、夕方の船でみんな帰るので、夜はほとんど人がいません。
島民の密かな楽しみは、夜の海に行って、静かで綺麗な波打ち際に寝転んで、半身を海につかって星を見ながらビールを飲むのだそうです。
アシカとかアザラシみたいだけど、最高ですね。
死にたい時はお勧めです。

山田玲司

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企画編集:山田玲司
矢村秋歩
発  行:株式会社タチワニ
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メルマガ発行日 2015/7/6

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