コラム 2017.07.15

【第59号】教養という武器の増やし方

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山田玲司のヤングサンデー 第59号 2015/11/16
教養という武器の増やし方

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ヤンサンを観てくれた人によく「どうすれば山田先生のような広い教養が身につくんでしょう?」みたいなことを聞かれます。
ありがたいことですけど、僕の話は何に関しても「知ったかぶり」の範疇で、とても自分に教養があるとは思ってはおりません。(荒俣宏さんなどの「本物」はすごいですから)
とは言え「クールベは渋谷系だ」みたいな話も、「俵屋宗達は霊感少女かもしれない」みたいな話も、色々な事を知っていないとできない話なので、「色々知っていると、面白い」のは本当の話です。
ここ数年やたらと「イノベーション」という、既存の枠を超える「何か」が必要とされてますけど、こういう「何か新しい発想」というのは日本人が1番苦手なことです。
逆に言えば「新しい発想」ができれば、圧倒的に有利なのです。
そこで、決め手になる大きな要素が「教養」(幅広い知見と哲学)なのです。
知識はそれだけでは「教養」という武器にはなりません。
その知識が「断片」ではなくて、他の知識と有機的に繋がると、それが「自分の教養」となるのです。
それは、どんな感じで作られていくか、簡単な例で説明しましょう。
女の子がディズニーランドを好きになる本当の理由
例えば「ディズニーランドは女の子が大好きな場所らしい」という知識と「漫画家ウォルトディズニーの人生」という知識があるとします。
ここでまず「女の子はどうしてディズニーランドが好きなんだろう?」という疑問が浮かんだとします。
この「疑問」が教養を育てる基本です。
(疑問を持たないで、何も考えない、というのも「アリ」なんですが、その話なまたいつか)
漫画家としてのディズニーの人生をざっと知っていれば、彼が漫画家として如何に苦労し、アニメを作ってそのキャラクターの権利を奪われた事も知っているでしょう。
彼には漫画よりビジネスの才能があり、しばしその「強引でワンマンな手法」と、夢を現実にする力を知ってるはずです。
「これは彼1流の創作ではないか?」との説もありますけど、何と言っても有名なのはディズニーがディズニーランドを作ろうと思った動機です。
彼は自分に娘が出来て、彼女と一緒に楽しめる「素敵な公園」を作ろうと思ってディズニーランドを作ったというのです。
ここまで材料が揃えば「どうして女の子はディズニーランドが大好きなのか?」の答は出やすいでしょう。
「豪腕なビジネスマンで、夢見がちな漫画家だった父親が、めったに会えない娘のためにプレゼントした最高のプレゼント」がディズニーランドなのです。
女の子が嫌いなわけがないのです。(という1つの説ができるわけです)
こんなふうに「疑問」と「知識」が自分にとって新しい「説」を生んでいき、それが「教養の材料」となっていくわけです。
この「説」が正しいかどうかは、また別の話で、とにかく「自分の説」があることが重要です。
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マイブームが教養を生む
色々なことを知りたいと思っても、どれから手をつけたらいいかわからないものです。
「経済を知りたい」と思って、むやみに「資本論」なんかを読むのはお勧めできません。
クラッシック音楽なんかも、素晴らしいものはたくさんあるけど、その多くは眠くなるような作品だったりします。
「これが知りたい」と思った時、有効な1つの策は、詳しい人に「どこからいけばいいか?」を聞くことです。
もう1つは「子供用の本で大まかな部分を理解する」という方法で、これもお勧めです。
でも、本当に身につく教養は、何かに「大ハマリ」することでしょう。
いわゆる「マイブーム」です。
僕は数年ごとに大きな「ビートルズブーム」を迎えていました。
「植物ブーム」も「アクアリウムブーム」も「仏教ブーム」も何度も迎えています。
こういう「今これが好き」という無責任な衝動は、とにかく吸収が早くて効果的に知見を広げられるのです。
そして「ビートルズ」と「仏教」が繋がる部分も出てくるわけです。
「何か面白そうだな」と思ったらまずはそれに「ハマって」みたらいいと思います。
「空海」とか「琳派」とか、なんだかわからないモノも、今ならまずは検索すれば「概要」はわかるので、今みんなが好きなモノでなくても「マイブーム」として、期間限定の研究者になればいいのです。
そして自分の中の「知的倉庫」に「ただの知識」や「自説」や「哲学」などが豊富になればなるほど、人生は面白くなり、世界が宝の山に見えてくるのです。
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そんなわけで、今週は僕のマイブームの中でも、かなり長かった「F1」の特集です。
F1とはだだの自動車のレースではなくて、ヨーロッパの文化の象徴でもあります。
そこは残酷で官能的な、魅惑の世界でした。
そんな話を水曜日にします。
では寒くなってきたけど、今週も頑張ってね。

山田玲司

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企画編集:山田玲司
矢村秋歩
発  行:株式会社タチワニ
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