コラム 2017.08.12
【第87号】山に籠ってもいい時とは?
山田玲司のヤングサンデー 第87号 2016/6/6
山に籠ってもいい時とは?
山に籠ってもいい時とは?
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僕もしばしば人間が嫌いになる。
でも人間も色々いるので、中々「人間の全部」を嫌いにはなれない。
それでも、やろうとしている事がうまくいかず、滅入っている時には「人間なんかみんな死ね」みたいになることもあった。
今回ゲストに来てくれた森沢明夫君も、1時期「人間は全員滅びればいいと思っていた」と言っていたけど、この気持ちはわかる。
こういうタイプは(おっくんも含めて)他者(人間)に対して「期待」をしている人達だろう。
初めから人間なんかどうでもいい、と思っていたら、わざわざ「人間なんか大嫌いだ」とか言い出さないはずだ。
人間は本当はいいものだ。君は本当はいいヤツだ。なんて思っている子供がそんな人間(他者)にがっかりさせられることが多いと、「もう人間なんか大嫌いだ」となる。
そんな人達の中に「誰もいない場所」を求めて旅に出てしまう、というタイプの人がいて、それが森沢君やおっくんのような人達なのじゃないかと思う。
ある意味1番純粋で「人間が好きなタイプ」なのかもしれない。
そんな「期待していた他者(人間)に失望させられた旅人」が、田舎の名も無き偉人たちに出会い、優しさに触れ、「人間って捨てたものじゃない」と思って小説を描いているのが森沢明夫という人だと思う。
人間と離れたほうがいい時とは?
人が人と一緒にいられなくなる理由はいくつもあるけれど、大きいのは「自分を勝手に評価される」時だと思う。
挑戦も努力もした事があるし、泣いたことも沢山あるし、様々な苦悩や葛藤を抱えてここまで生きてきたのに、見た目だけで「キモい」とか1瞬で全否定されたりすることがあるのが人生だ。
それぞれが自分のことしか考えていない上に、単純な価値観で人を評価して「あいつはダメ」とか「終わってる」とかやっている集団は多い。
「学校」という場もそうだし、「女子」の世界も「業界」や「世間(メディア)」なんかも同じようなものだ。
森沢君が言っていた「誰にもそれまで生きてきた大切な時間や思いがある」という発想はそこには見られない。
「綺麗か?」「スタイルがいいか?」「若いか?」「金持ちか?」などの表面的で底の浅い基準でその人は評価される。
僕はその全てを否定はしないけれど、こういう空気が支配する様な「場」に居なければならない時には心を閉じたほうがいいと思っている。
そういう浅い基準で人を勝手に評価仕分けしてくる人は、同時に自分もその評価の世界から苦しめられる。
「おばさんのくせに」と言って笑っている若者にも必ずその若さを失う時が来る。
「見た目のよさ」だけで人を裁いてきた人にも、加齢とともに逃げられない「容姿の衰え」はやってくる。
彼らはそれと一生戦わなければならないのだから、見た目至上主義に洗脳された「気の毒な患者さん」とも言えるのだ。
もちろん「若さ」や「容姿」や「経済力」にも価値はある。
けれど、問題は「それ」だけで、勝手に人を評価して傷つけることだと思う。
オフラインが教えてくれるもの
森沢君が勧めていた「人のいない所でネットなしの時間を過ごしてみる」事で見えてくるのは、そういう「他者の勝手な評価(ジャッジ)」のない世界だ。
そもそもアリが小さく見えるのは、アリよりも大きなものがあるからだ。
いくらお金がなくても、自分よりも金持ちの人がいなければそんな事は「普通の事」になる。
比較は人を不幸にする。そんなことはわかっているのに人は比較をしてしまう。
それは人間の遺伝子に刷り込まれた「誰かより上でいたい」という欲望のせいだろう。
そしてその欲望は「ゲーム感覚」にレベルでいればいいのだけれど、人生そのもの、自分の価値そのものの評価を「誰かとの比較」で捉えるようになるとそれは不幸でしかない。
全てはうつろうものだから、勝ち続けることはできないからだ。
そもそも評価の基準が幼稚で表面的だ。
「稼げるか?」だの「見た目が良いか?」だけで人の価値を決めるなんて、バカみたいに浅い。
そうはいうけど、自分に価値があるか知りたい、と思うなら、
そんなものは自分で決めればいい。
与えられた短くて長い貴重な人生の1日を今日は満足がいくように過ごせたか?
「悪くない」と思うなら、人が何を言ってきても気にすることはないのだ。
それでは今週も貴重な人生ゲームをお楽しみ下さい。
写真は絶望に効くクスリの取材で千日回峰行の大阿闍梨さんに会いに比叡山に行った時のものです。
阿闍梨さんは「山籠りの達人」というか「山の神様」だったね。
山田玲司
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企画編集:山田玲司
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発 行:株式会社タチワニ
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Written by
市川 剛史
どすこい喫茶ジュテーム