コラム 2017.08.14
【第89号】嫌いな人、嫌いな漫画、嫌いなアニメ
山田玲司のヤングサンデー 第89号 2016/6/20
嫌いな人、嫌いな漫画、嫌いなアニメ
嫌いな人、嫌いな漫画、嫌いなアニメ
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「ネットでの生放送」とか「ツィッター」などで発言をする事は、実のところかなり「危ない」行動です。
テレビなんかも同じだと思うけど、距離が近い分、ネットのほうが危険度は高い。
ネットでの発言は、どんな人がいるかわからない駅前の広場で、自分の主張を叫んでいるようなものだ。
例えば「私は犬が1番素晴らしい生き物だと思う!」と言ったとする。
そんな時たまたまそこに「猛烈な猫好きの人」がいて、しかもその時その人が「大事な飼い猫」を亡くしたばかりで、ついでにお腹が減っていたりしていたらどうだろう?
「そんな事はないわよ!猫が1番よ!」みたいな反論ならまだしも
「犬好きワロタ」とか「犬しか相手にしてくれないんですねw」みたいな定番から
「視野の狭さに失望しました」「ブロックした乙」みたいなのも平気で返ってくる世界だ。
うっかり言い返したら大げんかになって、個人情報を晒されたりする事まである。
ただ「犬が好き」と言いたかっただけなのに。
つまらない話とは?
僕は雑誌での発言が長いので、そっちの方が幾分かは言いたいことが言えたのを覚えている。
でもここ数年は漫画のセリフも含めて編集の人に止められることが多くなった。
お馴染みの相棒編集者の柿内君はそんな業界の空気にうんざりしていて、漫画家ではないのに「なんかもっと怒られたいですよね」と言っている。
怒られる前に、怒られそうな表現はあらかじめ出さないという、今の業界の自主規制体制からは「いままでにないような面白いもの」なんか生まれるわけがない、というわけだ。
僕も彼のこの意見に同意する。
ともかくそんなわけで、今の時代ってのは言いたいことが言えない。
本当に面白い発言は、偏っている発言なので、八方に気を使っては面白い事なんか言えるわけがなく、結果「無難なつまらない発言」ばかりがあふれることになるし、「これが正義」と決まっている事を大々的に言う人ばかりになる。
「不倫は悪です!」とか「パクリは悪です!」みたいなヤツだ。
当たり前すぎて本当につまらない。語るならその構造や背後にある人間そのものの問題に関して切り込んでもらいたいけど、それができる様な人はそんなつまらない話題を取り上げない。
後の世代への影響を考えると、「環境汚染」とか「人種差別」とか「報道規制」とか「不正選挙疑惑」なんかの方が問題視するべきだと思うんだけど、どういうわけか瑣末な個人攻撃ばかりが目につく。
嫌いなものは嫌い!
そんなわけで、人気漫画やアニメの話も恐ろしくし難い。
この前の「BABYMETAL」の時にも感じたんだけど、「熱狂的な支持者」が莫大にいる人やコンテンツに関しては、本当に面白い話なんかできない。
「本当の話」は信頼のできる仲間と直接話すしかないのだ。
もちろん僕には「大嫌いな漫画」や「大嫌いなアニメ」もちろん「大嫌いな人」ってのもいる。
でもそういう人や作品のにも「それに救われている人たち」がいるので、無闇に否定はしません。
でも、嫌いなものは嫌いなのです。でも、言えない。
そんなこんなで、頭がおかしくなりそうなんだけど、幸い僕には「水曜会」という信頼できる仲間がいるので、毎月そこでみんな「言えなかった本当の事」を言い合っています。
最近は僕のサロン「ゴールドパンサーズ」のオフ会なんかでも「本音に近い事」を言える場ができて、喜んでます。
アシスタントの前や番組でも限定放送部分では本音に近い話をしていますけどね。
今週は限定部分で少々本音を話そうかと思ってますけどね。
人生の目的地とは?
ちなみにヤンサンメンバーが「これは大好き」という漫画の中にも、僕が大嫌いな漫画が沢山あります。
でも、僕らは直接会って話ができる関係だから「俺は嫌い」と笑って言えるし、それで関係が「ブロック」されることもないのです。
これがネット上であったらそうはいきません。少ない文字の中で判断されてすかさず「ブロック」されて関係はほぼ永遠に終わってしまうでしょう。
僕は「見下すことから始めよう」の中で、嫌な人は「とりあえずブロック」していい、と書いてます。
同調圧力の強い世界で、自分が壊れないように生きていくための「方法」です。
でもあそれはあくあで「第1段階」です。同著の中でも書いてますけど、そのままでは自分の世界が狭くなり、広がりが持てません。
ネットや学校や職場などで出会いのきっかけをみつけるのはいいけど、問題は「その先」なのです。
「本当のこと」を笑って話せる相手。
自分とは違うけど、信頼できる友人。
「本当の話が安心してできる場所」を見つけることです。
とりあえず、人と繋がる気になったら、まずは(表向きだけでもいい)友人を作って、それから「本音を言える友人関係」を目指して欲しいものです。
これがなければ、どんなに有名でもお金持ちでも人生は虚しい。
目指すべき人生の目標の1つは「ここ」だと思うし、すでにそういう相手が1人でもいる人は無名だろうが貧困だろうが、貴重な「財産」を持っているんですよね。
実はこれはそんなに難しい話ではなくて、相手の好きなものや考えなどを尊重すればいいだけなんです。
ウサギはニンジンが好き、パンダは笹が好き、って事を意識するのは難しいことではないですからね。
パンダはウサギのニンジン好きを尊重しつつ「僕はニンジンより笹が好き」みたいに言いたいことを言えばいいんです。
そもそも現実社会では「犬好きは死ねばいい」とか言い出す面倒な猫好きおばさん、みたいな人にはめったに出会いませんけどね。
しかし、いつからこんな「当たり前のこと」ができなくなってしまったんだろうね。
そんなわけで今週はいよいよ僕の苦手な分野のクリエーター「押井守」さんの特集をします。
「大嫌い」というわけではないけれど、ひたすらスルーして来た作家さんです。
今まさにその準備しているんだけど、新しい発見も多くて新鮮な体験をしてます。
いやー
しかし、めんどくさい人だねw
面白くなりそうなのでお楽しみに。
いよいよ暑くなってきたんで、身体に気をつけてね!
山田玲司
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企画編集:山田玲司
矢村秋歩
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Written by
市川 剛史
どすこい喫茶ジュテーム