【第5号】人生を面白くする「方法」はあるのか?
面白きなき世を、面白く、みたいな事を幕末の誰かが言っていたらしいですけど、実際この世界で生きていて「面白い世の中」を作るなんて事は恐ろしく大変です。
誰が世の中を「面白く」できたのか?を考えて真っ先に浮かぶのは誰なんでしょうか?
ジョブズあたりなんでしょうか?タランティーノ?やすし秋元?
まあそれはともかく、自分の人生くらいは「面白く」したいものです。
まだ学校に通ってる人はともかく、社会人になったりしてしばらく経ってみると、恐ろしいほど「面白くない」人生を生きてる友人が増えてきます。
学生の頃は漠然と何かが勝手に始まって自分の人生がある時期から「面白く」なるんじゃないか、みたいに思っているもんです。いや。そんな楽観的想像は僕ら バブル世代くらいまでで、今の人たちはもう「社会に出る」イコール「面白くない人生の始まり」と思っているのかもしれないですよね。
なので「もう社会には初めから出ません」とか言い出す気分は本当にわかります。
僕の知り合いで物凄い勢いで人生を「面白く」しようともがいている男がいるんだけど、これが本当にうまくいかない。理想を追って職場を変える度に収入は減り、借金が増え、今はワーキングプアのサイクルにはまりかけてます。
彼なんかはバブル期であればなんとか調子よくやっていけたタイプなんだけど、シビアな話です。
僕は自分の人生がつまらなくなるのが子供の頃から恐怖でした。
せっかく生きてるのに、働いてるのに「つまらない」毎日を重ねて「ただ年をとる」なんて許せないのです。
なので僕は子供の頃から「自分がやりたいことをやって、面白く生きる計画」を立てて進んできました。
昔「20歳の中村俊介」にインタビューした時、彼も同じ事を言っていました。
彼は海外で活躍する時期をあらかじめ考えてサッカー選手のキャリアを進めてきていたわけです(実に俊介らしい)
そんなわけで「半自伝漫画・アリエネ」で描いた通り、僕は何度か道を見失いつつ、「面白く生きる人生」を計画通り進めてきたわけです。
ところが・・・
ところが世の中「計画通り」に進むかと言ったらそんなに甘くはありません。
ヒットするはずの漫画が打ち切られ、苦労した企画のネームが何百ページもボツになるなんてこともザラです。
人件費や生活費の為に「やりたくもない仕事」をやる事も普通にあります。
そして気が付いたのは、計画通りに行っても「面白くない」事もあるという事です。
漫画家になりさえすれば「面白い人生」になるわけではないし、海外に行けば「面白くなる」とは限らないのです。
若い時期の浅い考えは何度もアップデートしなければとたんに「面白くなくなる」わけです。
48歳までそんなふうにワガママに生きてきて思うのは、なんとなく人生が面白くなるということは相当難しいという事です。
学生の頃から「この努力は自分の人生を面白くするのか?」と考えていなければ、あっと言う間に産業奴隷のパーツに(冗談みたいに)なってしまうのです!
同じ努力や苦労なら「面白い人生」に貢献するものでいたいものですよね。
もう1つ大きいと思うのは「面白い人生」を志向して生きていると、同じように「面白い人」に出会うことが多いという事です。
僕は本当にメンタルが弱いので自分の漫画が人気のない状況になってしまうと、あまり人と会いたくなくなる傾向がありました。
うまく行ってるように見える人に会うと自分がみじめになるんで、それを避けていたわけです。
でもこういう逃げの姿勢は増々「面白くない人」を呼んでしまい、人生が閉じていくのです。
僕みたいにメンヘラと言われる、すぐ「誰にも会いたくない」とか言い出す人は、面白くない人と面白くない生活をして、気分が上がらないので何か新しい挑戦もできなくなるんですね。
僕は何度かこういう「ヤバい時期」を強引に何かを始める事で切り抜けてきました。
つまり状況はどうあれ「面白い」と思う事を始めてしまうのです。
こういう強引なやり方はしんどくもあるんだけど、「面白い」を始めると、ちゃんと「面白い人間」と出会います。
この「面白い人間との出会い」こそが自分の人生を本当に面白くする鍵になるのです。
メルマガ発行日 2014/10/27
Written by
市川 剛史
どすこい喫茶ジュテーム