【第143号】「非属の才能」と、書店員X
「非属の才能」と、書店員X
「才能のある人は、どこにも属せない
だから孤独だし、迫害にあうし、いじめにもあうものです。」
なんて事を書いた本が「非属の才能」でした。
この本を出したのは今から10年前の2007年。
我らが「カッキー」こと、コルクの柿内君と初めて組んで出した、僕の初の新書でした。
当時まだ、そこそこ尖っていた僕と、今も尖っているけど、当時は更に尖っていたカッキーとのコンビで作った本です。
なので、今読むと「おいおい、これは言い過ぎだろ(笑)」という文章が次々に出てきます。
1番激しいのは、完全に僕の独断で書いた最後の数ページなんだけど、それ以外の章もなかなか凄い。
例えばこれは「人の言うことは聞くな」というくだりです。
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人の言うことは99%聞くな 新しいことに挑戦する際、心得ておくべきことがもう一つある。
それは、他人の意見を聞き入れてはいけない、ということだ。
五味太郎氏は「人が何を言おうが聞くな」とくり返し、竹内久美子さんに至っては「人の言うことは99%聞くな」とまで言っている。
といっても、なにもこれは、他人の言うことを頭ごなしに否定しろ、という意味では決してない。
単に、危うい価値観に支配された群れのなかから発される「人の言うこと」についての話なのだ(事実、五味氏は個人として向き合うと実に真摯に話を聞いてくれる人だし、竹内さんも恩師や友人、世界中の研究家の言うことには真剣に耳を傾けている)。
竹内さんは、「人間がものを話すときには、ほとんどの場合、相手を操作しようという無意識が根底にある」と指摘する。
これが群れのルールに集約されたとき、例の「漠然とした同調圧力」になるのだ。
「この服を着ないとおかしい」
「この曲を聞かないとおかしい」
「このドラマを見ないとおかしい」
「このお店で食べないとおかしい」
これらの価値観の根拠は常にあいまいで、なんらかのメディアが操作していることが多く、決してその人個人の意思から生まれたものではない。
あえて言えば、広告代理店やテレビ屋や雑誌編集者の「いびつな村」が生んだ常識なのだ。
ひとりのカリスマが生み出した価値観などではなく、「時代の空気」という怪しいものに常に左右される価値観である。
もちろん、そこには利害関係のあるスポンサーがいて、組織の上下関係とライバルとのえげつない競争がある。
そういった世界から発信される空気が群れの価値観を操作しているならば、そんなものは1%も聞く必要はないのだ。
~非属の才能より~
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今読んでも清々しいほどに尖っています。
当時の僕の怒りもかなり入ってますね。
確かに「才能」なるものは、何かしら「人と違う部分」が生み出しているので、そのままの形で生きていくのは難しい。
それに、なんとか「その場のバランス」や「いつものやり方」を保って生きていこうとしている人達にとっては「革新的なモノ」は邪魔だし、恐ろしいものでしょう。
かと言って、「孤独に生きろ!」というのも無理がある。
なので、非属の才能の中では、自分の「変わっている部分」でみんなを幸せに(貢献)して、自分の「みんなと同じ部分」で共感していけばいい、なんて書いています。
「魚に詳しい自分」の能力で、みんなを幸せにしつつ、他の事では人と協調している「さかなクン」なんかの生き方を例に出したりね。
そんなこんなで、この本の1つの落とし所は「和を持って属さず」って事にした。
とにかく、非属の才能は「人と同じじゃなくていいんだ!おらー!!」なんて、尖りまくって作った本です。
でもその思いは「孤独や違和感を感じていた人達」に「何か」を伝えたみたいで、特に若い人達に読んで貰えました。
その頃、この「非属の才能」を推しまくってくれた書店員さんがいて、その人が今年になって「書店員X – 「常識」に殺されない生き方 (中公新書ラクレ)」という本を出版されました。
著者は長江貴士さん。
彼はこの本の中で、「非属の才能で救われた」と書いてくれていて、こっちが救われます。
あれから10年。
色々なことが起こって、今の僕の周りには「属さない者達」が、ご機嫌に「和して」います。
「非属の才能」なんて偉そうに書いてたけど、この本の本質は、学校やら会社やらでは「そこに属しているフリ」をしながら、自分の人生は自分で決めて生きていけばいい、ってだけの事なんだよね。
でも、僕は今でも「みんなと同じにしなさい」なんて言われたくない。
「人と同じじゃないとダメだ」なんて、やっぱりバカみたいだもんね。
山田玲司
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平野建太
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