コラム 2017.05.27

【第12号】威張る人の正体

前回の放送では僕とおっくんの友人である志磨遼平が出てくれて、番組史上最高の楽しい時間になりました。
CDを聴いて「こいつ最高だな」と思ってたミュージシャンと友人になって、気が付いたら自分の番組で無茶なリクエストして一緒に歌ってるなんて、まったく信じられない人生です。死なないで良かったです。
なんとなく「世の中」が嫌になって、人前に出ないようになっていた数年前に比べて、嘘みたいに楽しい日々になってきました。
こんな世の中はおしまいだ。とかいう気分になるのは仕方ないにしても、そんな気分に引っ張られて「本当はやりたかった事」を封印してしまうのはもったいないですね。

 

嫌な世の中だなあ、と思うのは「威張る人」に会った時ですね。

 

僕はとにかくこの「威張る人」が嫌いです。
威張る人がどういう人かというと、ほとんどの場合が「小心者」です。
絶望に効くクスリの取材で会った人の何人かはかつて「暴君」と呼ばれていた人でした。
人を威嚇することでコントロールしてやろうとするタイプの人間です。

 

こういう人の多くは、子供の頃に威嚇され、脅され、恐怖を感じさせられてきた人がほとんどなのです。
つまり「他人が怖い」と思っている人なのです。気の毒な生い立ちなので同情もしてしまうのですが、こういう人にとって「世間」は敵だらけで「殺らないと自分が殺られる」と思っているので、扱いに困ります。

 

僕はかつて絶望に効くクスリの取材であの「哀川翔さん」にお会いしたことがあります。

 

イメージでは「暴君」「ワガママ」「帝王」みたいに言われてて、怯えながら取材に行ったのですが、実際にお会いすると威張ってるどころか、「気のいい兄さん」そのもので、色々気を使ってくれるし、映画のプロモでご一緒した時なんかは、慣れない僕に緊張しないためのアドバイスまでしてくれたのです。

 

その時一緒だった映画監督の三池崇さんもあの強面のサングラスで怖そうに見えるのにまったく威張りません。むしろ腰が低いのです。(僕のような人間にまで!)

 

三池さんに映画の注文が集中する理由は「予算以内に仕上げる力がすごい」とか「どんな企画でも作品の質が保障される」とか言われますけど、「現場の雰囲気がいい」というのも大きいと聞きます。
あるスタッフの人が「三池さんはいつもご機嫌だから現場が楽しいし、また出たいという役者さんが多いんですよ」と言っていました。

 

物凄く威張ってるイメージのあるあの2人が「威張ってない」せいで仕事が上手くいっている、というのは面白い。

 

とはいえ哀川さんは昔「すべての人間は敵だ」みたいに思っている時期があって、その時代が相手を威嚇していたし、威張っていたと言っていた。
その背後には過酷な幼少期と「殺らねば殺られる」という気分で生きていたからこその「他人に対する恐怖感」があったのだと思う。

 

生まれた環境がたまたま「優しく」「敵のいない」場所だったか、「厳しく」「敵だらけ」の環境だったかで、「威張る」かどうかが決まってしまうのだ。
人生経験を重ねて「本当の自信」を得てからは威張る必要はないので、逆に謙虚で優しくなれる。哀川さんも三池さんもそういうタイプだと思う。

 

「威張る年上の対処法」
自分が年上の立場だったら「威張る」ことは周囲の人間の心を閉ざし、人間関係は希薄になる。いざという時に助けてくれる人もいなくなるし、情報も入ってこなくなる。
威張る人が年上にいた場合は、年下の人間はそれを「敵視」して「連帯」する
行きつく先は孤立であり、現場からの排除だろう。
かつての組織では「威張ること」が許される空気があったが、今はその余裕はない。
圧倒的な結果を出さない限り「威張る人」は排除されてしまうだろう。

 

もし自分の上司や先輩が威張る年上だった場合はどうすればいいか?
まずは前出の「威張る人は怖がっている人」だという法則を思い出そう。
そうやって相手の「過酷だったであろう子供時代」を勝手に想像して、心に一定の距離を取ろう。
「きっとかわいそうな事が沢山あったんだろうな」と同情すれば、理不尽は威圧に対する怒りも少しは誤魔化せます。

 

昔「ゼブラーマン」の中で描いたのですが「意地悪な人は悲しいことがあった人」なのです。
とはいえ、
この事は本人に知られてはいけません。この手の「威張る年上」はプライドを傷つけられることが何より許せないのです。

 

なので年上が「暴力的な威圧」をしてきた時は、映画「フォレストガンプ」のガンプが上官に対応する時のように、1%の口ごたえもせずに「イエッサー、ノーサー」と「軍隊的対応」をするしかないでしょう。相手は「幼少期の苦悩」を年下にぶつけているだけなので、受け流す事に引け目を感じる必要はありません。可愛そうではあっても「それ」はその人の問題で、年下が引き受ける類の問題ではないのです。
「哀れな人間だな」とやりすごせばいいのです。
年下の人間に、その手の「隙のない対応」をされた年上は、(まともなら)自分に何か問題があるのか?と考えるものです。
その内省や自己改革がない年上の人間には、心を開く必要もないし、変わる事を期待しないほうがいいでしょう。

 

そんなわけで、次回は
「説教とは年上のガス抜きか?」
という話から「威張る人間」対処法について語ります。

第7回「復活!絶望に効く薬LIVE!第一弾山田玲司が惚れた一番のミュージシャン、ドレスコーズ志磨遼平登場!!」

メルマガ発行日 2014/12/15

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