コラム 2018.09.20

【第180号】「向いてる仕事」はあるのか?

山田玲司のヤングサンデー 第180号 2018/4/2

「向いてる仕事」はあるのか?

 

 

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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。

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春ですねーーー!

「750ライダーみたい。お元気ですか?山田玲司です。

それにしても今年の春は、数年ぶりに「暴力的な花粉症の症状」が出る日があって参ってます。

 

何度か書いてますが(何度も言いたくなるので勘弁ね)この「花粉症」なるもの、どうも主に大気の複合汚染が原因で「スギ花粉」はその犯人の1つにされてるだけらしいのです。

以前に「杉だらけの屋久島」に行ったのですが、そこではまったくアレルギーの症状が出ません。

沖縄でも全く症状は出ないのです。

 

こうなると、辛くても薬を飲む気になんかにはなれない。

悪いのは『自分の体』じゃなくて「空気」のほうじゃないか!

直すのは「こっちの身体」じゃなくて「地元の空気」じゃねえかー!

そして、本当の犯人は「それを許している行政の腐敗!更には民度の・・とか、面倒なことを言いながら「投薬」を拒んでいたのですが、色々調べてたら、自分には「のど飴」と「ヨーグルト」が効く事がわかりました。

 

そんなわけで、今年も「飴とヨーグルト」で、症状が治まるのを待ってます。

 

春です。

「なんかもう仕事に行きたくない」という人もいると思うので、今週はそういうお悩みにお答えします。

 

【相談】

向いている仕事がありません。

 

皆様こんばんは。 ヤンサンファミリーのホタテです。 とても困っています。 向いている仕事がありません。

〜中略〜

 

職場の人はすごく良い人達です。 特に女性の店長は 最初は厳しかったのに ある日しょっちゅう寝ぐせのついてくる私を笑われてからなぜか「特に仕事ができるわけでもない私」にとても良くして下さいます。

 

「もうこの人達のために頑張ろう、ちょっとでも役に立とう。」と皆に親切にされたその日は思うのですが次の日はまた「行きたくない」の振り出しです。

 

すぐに辞めた仕事以外は真面目に働き、人間関係も良好でしたが辞めるときはいつも「もうしなくていいんだ。」とホッとします。

30なので結婚は?と周囲から聞かれますが、

『この人となら結婚してもいいかな?』と思った事はあっても 『とにかく“結婚“がしたい!』と思った事がないので婚活に興味がなく、恋人がいない今、結婚も意識できません。

同級生は着実にキャリアを積み立派に働いています。また仕事柄、同年代の若いお母さん達を毎日見ます。

みんな地に足をつけて各々の立場を持ち、とてもしっかりして見えます。

私だけが何者にもなれずいつまでもフワフワとしています。

 

やりたい事はありません。

特技や才能はありません。

好きなことや趣味も特にありません。

ただ、これだ、と思うものが見つかればどこまでも情熱を注ぐ意気込みだけがあります。なのに出番がありません。

私のような人間はどうやって生きていけばいいのでしょうか。

 

【お答え】

お仕事の経緯は略させてもらったんですが、この方は様々な仕事に挑戦してきた人で、その結果最後はいつも「仕事に行きたくなくなって辞める」というのを繰り返してきたそうです。

 

そういう「職を転々とする人生」ってのは望ましくない、とか言う人がいます。

仕事は一生もので、学校を卒業してすぐに入社した「会社」に一生務める、というのが「正しい」とされてきた時代を覚えています。

 

ですが、実際に社会に出ると、「卒業してからずっと同じ職場にいる人生」だけが正しいわけではないということがわかる。

 

無理して同じ職場にいたせいで心身共に壊れてしまう人も多いもんね。

 

特に「職人さん」の取材をしていた時には、「色々やった。フワフワしていた。そしてこの仕事に決めた」みないな人が多かったのを覚えています。

 

たんぽぽの綿毛が、落ち着く場所に着くまでフワフワして、「ここ」って場所が見つかったら初めてそこに根を張る感じで、僕はそれでいいと思うのです。

 

でも問題は、

 

・やりたい事はありません。

・特技や才能はありません。

・好きなことや趣味も特にありません。

 

・それでも何かに熱中したい。

 

という部分でしょう。

 

【熱くならない理論武装】

この方がそうなのはわからないけど、「こういう事」を言う人の多くは、子供の頃から周囲に「どうせ君には無理」と言われすぎて、あらゆる事から「心の距離」を取る癖がついている人が多いのです。

 

「どうせ無理」を浴びて育つと、何かに熱くなった時に「やらない方がいい理由」を探して、動き出そうとした心に冷水をかけるのです。

 

例えば「音楽で食べていける人なんてほとんどいない」とか「もっと上手い絵師はピクシブとかに死ぬほどいる」とか「地方じゃ無理」「この年じゃ遅い」とかいう「冷水かけ」からの「熱くならないための理論武装」です。

 

そうすると「自分は現実主義で冷静」と思えるので「挑戦しない事」に引け目を感じなくてすみます。

 

よく耳にする「あいつらは頭がお花畑だから」なんていう、夢追い人への嘲笑は、そういうタイプの人が口にしがちです。

 

特技や才能に関する自信は、子供の頃の「君は才能あるね」の一言を貰えたかどうかで決まってたりします。

 

本当に「些細なこと」なのだけど、その言葉を貰えなかった人にとってはキツイ問題です。

 

要するに「自己評価」は「現実の可能性」とは違うのです。

 

「自分には無理」という設定を変えないと「情熱をかけて何かに挑む」のも、それを「仕事」にするのは難しいでしょう。

 

【本当は好きなこと】

 

この件について考えていたら、昔「公開放送」でお客さんから同じような相談を受けたのを思い出しました。

 

詳しいことは覚えてないんだけど、その時彼が言っていたのはこんな感じだったと思う。

 

「何もやりたいことも好きなこともないんです」

 

「何もないの?」

 

「エロいことは好きです」

みたいな展開だった気がする。

 

僕が「それならエロい本作るのは?最高のエロ同人誌を作るってのは、モチベーションにならない?」みたいに言いました。

 

その時の彼は「その道もありなのか」と驚いていた印象でした。

 

AMという女性向けサイトには「エロいことが好きすぎてアダルトグッズを作っています」という女性もいます。

 

いつも言ってますけど、僕が行きたいカレー屋さんは「店主が死ぬほどカレーが好きで始めたカレー屋」です。

 

【向いてる仕事とは?】

 

「向いている仕事」の条件を「自分が熱中できること」に規定するなら、まずは「仕事になるかどうか」は置いておいて、「本当は好きなこと」に素直に向き合うところから始めるのがいいと思うのです。

 

この場合「そんなの無理」という「否定の虫」は相手にしない事が大切です。

 

あと「向いている」ってのには「何かわからないけど、人より上手くやれる事」ってのもある。

 

これは僕にとっての「インタビュー」や「トーク」なんかがそれで、本来好きだった「絵の能力」に関しては、いくらやっても「そこそこ」なのに、「言葉の能力」に関しては努力したつもりもないのにできるのだ。

 

これもまた「向いている仕事」で、これで人が喜んでもらえるなら、逆らってはいけないと思う。仕事は多様で、やりたくないけど誰かがやらなければならない仕事も沢山あります。

 

「向いている仕事」の「種」は「夢中になってるうちに時間が過ぎてしまう事」の中にあるのでしょう。

 

そして、その種を「誰かを幸せにするレベル」まで育てたら、それは「理想の仕事」になるのだと思うのです。

 

そうは言ってもし過去に「君には無理」を沢山受けてしまったら、「夢中になれること」自体簡単には見つからなくなってしまうもんです。

 

なので、しばらくは「わたげ」でいいのです。

 

「人のことは気にせず、自分のペースでフワフワ進め!」ってのが答えです。

 

山田玲司

 

 

 

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企画編集:山田玲司
平野建太

発  行:合同会社Tetragon

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