コラム 2019.02.15

【第202号】不登校の「最大の効能」とは何か?

山田玲司のヤングサンデー 第202号 2018/9/3

不登校の「最大の効能」とは何か?

 

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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。

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僕が学校を大嫌いになったのは、中学の時の「ある体育教師」のせいだった。

 

体育大を出たばかりのマッチョなその男性教師は、授業中「王様」の様に振る舞い「できるやつ」を贔屓して、「できないやつ」をみんなの前で笑い者にしていた。

 

少し太めの男子生徒に「何食ったらそんな体になれんだ?」とか平気で言うのだ。

 

彼を嫌いになった決定的出来事は、多くの人の心に「生涯消えない傷」を追わせる「あれ」をやっていたことだ。

 

「あれ」とは、言わずと知れた「できるやつ」が自分のチームに欲しい人を1人づつ選ぶ、という恐ろしい「あれ」の事だ。

 

数名の「できるやつ」が「お前はいらねえ」「お前は来い」とかやるやつだ。

 

そして最後には半泣きの「いらないやつ」数人が残る。

「できるやつ」は「お前の方がましかもな」と選別し、最後はクラスで1番「いらないやつ」が決まる。

 

今の僕がこの現場にいたら、真っ先に「それ」をやらせている教師に「いらないのはお前だ」と言うだろう。

 

この残酷な現場をニヤニヤと見ていた「あの時の体育教師の顔」は忘れない。

 

僕はその教師と何かと言えば対立し、卒業式ではずっとそのデリカシーのない顔を睨んでいた。

 

高校へ行くと学校のすべての質が下がっていた。

「荒れるバカ高校」だったので、注意すると「即切れ」するシンナージャンキーの生徒がフラフラしている様な学校で、教師達はその状況をコントロールできなかった。

 

「おいおい」「だめだぞ」とか言って、おしまいなのだ。

 

学校行事について「これは何でやるんですか?」と聞いてもまともに答えられない。

 

すっかりバカらしくなって僕は一切の行事に参加するのをやめた。

授業も聞かず、制服も止めて私服で登校した。

自作漫画と自主アニメの発表のために文化祭だけは出た。

 

すると今度は「体育祭に出ない玲司はずるい」と言ってくるやつが現れる。

出たくなかったら自分も出なければいいのに、その勇気がない、というクズ野郎だ。

 

そんなわけで、僕は「不登校の人」を「勇気ある人」だと思っている。

 

しかし、この話には大きな問題がある。

 

それは、世の中には「学校が楽しかった」という大人が沢山いる、という事だ。

その中には「素晴らしい先生に出会い、多くを学んで大人になりました」という人もいる。

 

学校で私は「かけがえのない友人」と出会い、最高の思い出と、今に至る絆が生まれたのです。

 

なんて人もいる。

 

学校がまともに機能していた地域と時代に「その環境に合った自分」でいられた幸運な人達だ。

 

今でも一部の人達は、部活に燃えてたりして、それなりに学校で成長したりもしていると思う。

 

僕はその人達に関しては全く否定しない。

 

問題は学校の多くが「かつてのもの」ではない、という現実だ。

 

「今の子供は家でゲームばかりして外で遊ばない」という批判をする人達は、今の「外」が昔のように遊べる環境ではなくなっている事を考慮していない。

 

最近「子どもたちのネット依存が深刻化している」なんてニュースを見たけど、ネット依存は全世界共通のもので、「なげかわしい」とか言っている時代は20年以上前に終わってる。

 

すべては恐ろしい速さで変化している。

その中で「学校」は時代の変化に対応できないまま、犠牲者を生み続けている老朽化したシステムになっているのだ。

 

「そこ」に馴染めないのは決して「本人の甘え」や「我慢の無さ」とかではない。

 

そしてついに「大学くらい行かなければ人生おしまいだ」という時代が終わろうとしている。

少子化で大学が余ってる時代に「学歴」は将来を保証してくれない。

 

じゃあどうしたらいいか?

 

自分で考えるしかないのだ。

自分で先生を探し、自分で調べ、自分で仲間を集め、自分で何かを作り、自分で売り込む。

 

今週のゲストの山崎綾音さんはまさにそういう人だった。

 

彼女は本当に多くの事を知っている。

彼女は自分で人生を選ぶ。自分で人を選んで、自分で環境を選ぶ人なのだ。

 

「学校に行かなかったから沢山の事を学べたね」なんて笑ってた時は、次の世代に希望が生まれている感じがして本当に嬉しかった。

 

学校に行くのが当たり前、という環境で、学校に行かないのは「行くより」大変だ。

ただ、そのおかげで「魂」は生き残る。「自分」が残る。

 

これが「不登校」の最大の効能だと思う。

 

「魂」さえ死ななければ大丈夫。

 

人生は長いのだ。

 

どんな「地獄の季節」にも「アフターストーリー」は待っているのだ。

 

山田玲司

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企画編集:山田玲司
平野建太
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