【第29号】面白い人になる方法
前回の放送は、「友達って何だ?」みたな話から、まさかの「セザンヌ話」という流れでした。
普通は「これで大丈夫か?」という感じだけど、実は「これは絶対に面白い」という確信のもとの放送でした。
僕とおっくんは直前に「負ける気がしねえ」と言っていたのです。
友達問題の本質は、おそらくいつもの「人それぞれ」なのだと思うのですが、いい友達と良い時間、いい人生を送るにはどうしても、まず「自分が面白い人かどうか?」という話になってしまうわけです。
そこで今回は「面白い人」になる方法について放送でやってみました。
僕は面白い人とは「私はこう思う」「私にはこう見える」と言える人だと思うので、こういう構成で番組を進めてみたわけです。
印象派は「自分には世界はこう見える」という主張をした芸術家たちの集まりでした。
なので、今回のテーマを語るのに丁度良く、友達論に印象派の話を絡めて話をしてみたわけです。
印象派を爆発させたのは、その少し前の世代の「俺たちには俺たちの考えがある」というロックな抵抗です。
クールベやマネの「本当はこれが真実じゃねえか!」という意識(戦い)が、セザンヌ以降の芸術家を育てたわけです。
番組の中ではっきり言えなかったのですが、セザンヌという人は、マネの「お前には世界はどう見える?」という問いに一生をかけて答えた人なのです。
そして彼は「世界はこっちから見たものと、別の角度から見たものが同時に存在している」
だから「世界は1つの方向から見ただけでは解らない」と言ったのです。
そこには自分を否定した作品を書いた友達ゾラもいるし、リンゴをくれてパリに呼んでくれた友達ゾラも同じ人なのだという、思い(哲学)につながります。
「友よ、君には色々な顔がある、僕はそれをすべて描こう(受け入れよう)」というのがセザンヌの絵から伝わってくるのです。
僕にはその点がセザンヌという「世界を見つけた面白い人」の1番の魅力だと感じるのです。
面白い人とは「この世界の面白さ」を発見して、報告してくれる人
今回の放送の直前の打ち合わせで、面白い僕の友達は仕事とは関係ない「多肉植物」の話で盛り上がってました。
それが番組で紹介した「イカ飯マニア」の柿内君です。今回、彼と僕ともう1人の「ある天才」がチームを組んであるプロジェクトが進行中なのですが、こういう「面白い人」たちとの仕事では負ける気がしません。
憂鬱な時代の過ごし方
そんな「面白い世界」だけど、実はここしばらく僕は憂鬱です。
それはいよいよこの「気候変動」が本格化してどうにもならない状況になってきていることを肌で感じるからです。
4月の雪のあと、夏の終わりのような雷雨がありました。
去年ジェームスキャメロン達が作った「危険な時代に生きる」というドキュメンタリーがNHKで放送されたのだけど、ほとんど話題になりません。
(その番組は僕の観た気候変動のドキュメンタリーの中で最高のものでした)
僕の愛する世界の状況は最悪な方向に猛スピードで向かっています。
何年も前から言われてるように「墜落する飛行機の中で最後の食事を奪い合っている」状態です。
そんな絶望にもある程度は慣れたとはいえ、さすがに憂鬱な状況(潰された報道業界、操作された世論、最悪な事態)が多すぎてしんどい。
でもそんな時代に、いかに生きるべきかのヒントも僕はもらっていました。
震災の後に映画監督の周防正行さんにインタビューした時、彼は「僕にはこの状況をどうこうできないけど、とにかく見ておこうと思います」と言っていました。
オリバーストーンも9.11の映画を撮る理由は「それを体験した人に会える時に、それを記録しなければならない」と言っていた。
僕もこの大好きな「面白い世界」が墜落していく時代をしっかり見ておこうと思っています。
そしてみんなが最後のリンゴを奪い合う中で「あるべき世界」を考えようと思う。
「自分の目で世界を見てる面白い友達」と一緒に「理想なんか」を語り合う。
そしてそれを様々な形で伝えていく。
できるかぎり「ご機嫌に」ね。
山田玲司
追伸
番組で突然おっくんが語り出した「明恵上人」も「あるべきやうわ」と言っていた人です。
それは「後生(未来)のことより今この瞬間にあるべき様に生きろ」ということらしい。
「お前にとって、あるべき姿とは何か?」と言っている気がする。
この点まさに、明恵はマネだ。
あのタイミングで打ち合わせもなく明恵を持ち出してきた、おっくんの行為に、何か「大いなる存在」を感じた夜でした。
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メルマガ発行日 2015/4/20
Written by
市川 剛史
どすこい喫茶ジュテーム