【第135号】「焦って進むか」「あえて休むか」の境目はどこだ?
「焦って進むか」「あえて休むか」の境目はどこだ?
最近の相談ごとを聞いてて感じるのは、多くの人が「とても焦っている」ということです。
何か良くない状況が来ていて「一刻も早くこの状況を脱して楽になりたい」と思っている。
これは僕もよくわかる。
人生のほとんどが「自分ではどうにもならない事」で構成されています。
なので、いくら焦っても、いくら怠けても、大半の事は「なるようにしかならない」のですが、やっぱり「嫌な思い」はしたくないものです。
特に大きな挫折を経験して居ない時は「失敗」は怖いものです。
何だかんだ言いながら、とっとと「結果」を出して、安心したい、と思うのもわかるんです。
ところが、この「結果」というヤツはいかんともし難い。
恋愛にしても、仕事にしても、何かしらの目標(夢)を持っていても、そんなもの簡単にはいかない。
なので「このままだと自分はどうなってしまうんだろう」なんて焦るのも仕方ないとも思う。
特に、なるべく傷つかないように生きてきた人ほど「始めての失敗」は怖いものです。
でも何度か「失敗」だの「挫折」だの「大失恋」などを味わってくると、気がつくことがある。
それは「それでも人生は終わらない」ってことだ。
そして、長いこと生きていると、「悪いこと」も「良い事」も、そんなに長くは続かないって事も分かってくる。
リスクをとって冒険してきた人は「冬の時代」やら「絶望」やら「別れ」なんかも何度か味わってくるけど、大抵の人が「それがあって今の自分がいるんで、良かった」なんて言うもの。
でも、まだ1度も「海」に飛び込んだことのない人は、とにかく「海」が怖い。
本当の海を知らない人ほど「海にはそこら中にサメがいて、人を食べようと待ち構えている」みたいな勘違いに怯えていたりするものです。
でも、実際海に入ってもサメには会えません。食べてもくれません。歴史上サメに食べられた人の数は、交通事故に合う人より圧倒的に少ないしね。
なので最近は、つい「焦んないでも大丈夫だよ。そんなに簡単には死なないから」「先は長いんだから、のんびりいこうよ」なんて定番の事を言ってしまう。
実際そんなもんだし、焦らないでのんびり構える事も大切なのだ。
ところが、今回、自分の過去作「NG」の話をニコ生でしていて気がついた。
この頃の俺・・・・恐ろしいほど焦りまくってる・・・
そのせいで、純度は高いけど暑苦しいし、何しろ読者を見ていない。
NGを描いている時は、すでに35歳で、それなりの冒険も失敗も経験しているのに。
本当に偉そうなことは言えない。
もちろん、この前作「アガペイズ」が打ち切られていたので、「もう次はない」という気分だったのもあるし、仲のいい友人の漫画家がバカみたいに売れていたのも焦りに拍車をかけていたのもある。
そんなわけで「俺はもう明日死ぬかもしれないんだ」みたいな気分で描いていたのが「NG」でした。
だからこの漫画は、とにかく「メッセージ成分」が濃厚で、好みが割れる。
でもね。
定番な事を言うけど、やっぱりこの漫画を描いて良かったと思う。
いくら焦っても、大半の事は「なるようにしかならない」のですが、それでも「とにかくやってみた」という「経験」は、その後の自分を物凄く助けてくれるのです。
とはいえ、(繰り返しますけど)焦ったって仕方ない時は、のんびりやってていいんです。
何もしない、成長もしない、なんて時期も大切な人生の1部だし、後に何かしらの「いい効果」をもたらしてくれたりもします。
でももし、心が落ち着かなくて、気がつけば「自分を責めている」ようになっていたら、もうそれは「挑戦してみる時」でしょう。
誰かと自分を比べてしまって辛い、ってのはどうしてもやってしまうものだけど「とにかく自分はやってみたのだ」と言えるだけで相当楽になれます。
挑戦は何でも良くて、身の回りの掃除をするだけでもいいんです。そんなのじゃ足りなければ、その時は世間の荒海に飛び込んでも、旅に出てもいいし、何かに応募したり、面接に行ってもいいでしょう。
あとは「社会」だの「時代」だののせいにでもしてればいいんです。
デリカシーのない批判をしてくる人の多くは「やったことのない人」です。
なので、どんな批判を受けても「やったことのない人」よりはマシなのです。
そして「本当にやったことのある人」は、人の失敗に寛容です。自分にもその気持がわかるからです。
ヤンサンに出いている人の多くが「ご機嫌」なのは、これも一因だと思います。
レギュラーもゲストも、とにかく「やってみたこと」がある人たちですからね。
では、今週の主題歌決定戦、挑戦するかっこいい奴らの「やってみた劇場」をお楽しみ下さい。
山田玲司
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平野建太
Written by
市川 剛史
どすこい喫茶ジュテーム