【第186号】写真家青山裕企の夢を叶えた「レディ・プレーヤー1」の「遺言」
写真家青山裕企の夢を叶えた「レディプレーヤー1」の「遺言」
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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。
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先週の放送には、写真家の青山裕企氏が出てくれた。
青山君は「カメラマン志望」が死ぬほど溢れかえっている世の中で、自分の出したい写真集を出して成功した「数少ない人」の1人だ。
カメラマンに限らず、自分のしたいことで生きていきたい人達にとって参考になる事も多いだろう。
そう思って、番組のテーマを「夢問題」にした。
大昔から言われている「夢に生きるか?現実に生きるか?」という話だ。
とはいえ、そう決めたものの、どうも「違和感」を感じている自分がいた。
「夢を叶えよう」なんて言っていられた時代はもうとっくに終わってしまったんじゃないだろうか?
という「時代の気分」を感じていたからだ。
去年語りまくった、志磨遼平のアルバム「平凡」での「何か特別なものにならなくてはならない」という奇妙な時代への「お別れ」の話(さよなら20世紀)もあった。
ONE君の「モブサイコ」「ワンパンマン」では「普通への回帰」の話も語り合った。
「時代は2014年くらいにすでに境界線を越えてしまっているのではないか?」・・なんてさんざん言っていたのだ。
そう。
すでに「夢を叶える」事で幸せになるという感覚は過去のものになっているのだ。
まだまだ「ランキングの呪い」は解けないし、何より世の中が経済的に厳しいので、どうしても「人より稼ぐ」という事が「幸せ」だと思ってしまいがちだけれど、そもそも少子化で人口減少の国にいる限り「増産」という考えは、それこそ「現実的」ではないのだ。
そういう流れがあったので、僕の中でも「夢をあきらめるな」と言う時に若干の違和感がある。
「夢」はランキングでの勝利ではなく、後悔しない日々を送ることをベースに「自分にとっての理想」を目指して進んでいくことで、かつての夢とは「質」が違うからだ。
でも、ヤンサンを観てくれている人の中には「かつての僕」みたいな人がいる。
「どうすれば自分の作品で社会に認めて貰えるのか?」
「どうすれば、やりたくもないバイトをしないで、好きなことだけで食っていけるのだろうか?」
なんて、真剣に考えて吐きそうになっている人がいる。
なので、今回は「そんな人」に向けて「青山裕企を見ろ!彼の生き様を見ろ!そしてヒントとパワーを貰ってくれ!」と思いながら、番組をやっていた。
その「生き様」は本編で堪能してもらいたいのだが、この青山裕企という人の「夢を叶えた道」を考えていたら気がついた。
この人のやってきた事は、前回のレディ・プレーヤー1の中で取り上げた「スピルバーグの遺言」と見事なまでに重なっていたのだ。
繰り返すことになるけど「レディ・プレーヤー1」という映画には、映画やゲームなどの「仮想空間」を中心に生きる人に、スピルバーグ自身が「これだけは大事にしろよ」と伝えている3つの「メッセージ」が込められている。
【レディ・プレーヤー1の3つのメッセージ】
その1つが「みんなが行く方に行くな」ということだ。
青山君は「ミスチル」と「村上春樹」が好きな、普通の人だと自分で言っていたけど、その生き方は「孤高」だ。実際にみんなが大学に行っている時に自転車で旅に出てしまう。1人になってもテナーサックスは止めない。
もう1つのメッセージは「悲しい思い出を乗り超えろ」だ。
これは映画の中で、仮想世界を作った「ハーディ」が、ダンスパーティーで彼女にキスができなかった悲しい思い出と戦うシーンで語られる。
パーティーの参加者はみんな「ゾンビ」で、主人公はその「ゾンビ」を乗り越えながら「彼女」を連れ出す。
青山君もまさに「ゾンビ」でいっぱいの青春を送っている。
触れることのできなかった「好きな女の子」への思い出がある。
彼は「それ」を「写真」という作品にして世の中へ出すことで、思い出を乗り越えている(その後のデート写真企画もその時の思いで生まれている)
最後のメッセージは「クリアを目指すな。答えを求めてさまよえ(遊べ)」というものだった。
これまた青山君は「旅」によってこれを実行している。
不安は苦しいから、人はついつい「安心」が欲しくなる。
「保険」を求め、「安易な答え」にすがろうとする。
そんな弱い心が「学歴」や「資格」や「契約」なんかにすがる人生に向かわせるのだろう。
僕自身「安心」ができた事はない。今週もいくつかの不安を抱えて生きている。こんなの嫌だし、眠れない夜にもうんざりしている。
でも自分の「人生のハンドル」は「自分」で握る。
フリーで生きていく以上、成功しても「安心」なんかは常に束の間と決まっているのだ。
とはいえ、本当はどんな人にも「確実な安心」なんかないのだ。
会社はなくなるし、人の心は変わる。乗ってたバスが転落する事だってある。
次の「キューバ危機」を避けられる「保険」だってどこにも売ってないのだ。
それでも「今月の家賃」は払わなければならない。
それならできる範囲で「旅」に出よう。
可能な範囲で「理想」を追いかけよう。
悲しみは超えていこう。
山田玲司
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平野建太
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ナオキ
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