コラム 2018.05.18

第158号】トルコハラスメントとハリウッド女優

山田玲司のヤングサンデー 第158号 2017/10/23

トルコハラスメントとハリウッド女優

 

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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。

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その時僕らは「イスラムのヒゲ男」に陵辱されていた。

 

事件が起きたのは、ヤンサンのサロン、ゴールドパンサーズ(通称ゴルパン)のオフ会の打ち上げの時だった。

 

オフ会はいつものワニスタで、おっくんの旅仲間のジェダイとあずみんを招いて「旅トーク」だった。

 

いい感じに盛り上がって、おっくんオススメの「うざいおっさん」がいるトルコ料理屋に行こうという流れだった。

 

店には絨毯が敷かれ、でかいラクダのオブジェがあり、天井1面に華やかなトルコランプが下がっていて、まさに「イスラム」という、いい雰囲気。

 

ゴルパンの活動もそれなりに数を重ねてきているので、メンバーもかなり仲良くなっていて、こっちもまたいい感じだ。

 

初めて来た人に古参のメンバーが声をかけて、僕に紹介してくれたりする。

 

今回は山梨の大学の女の子と、出版社に内定が決まった長野の男の子に、アニメーター3年目の女性が初参加してくれた。

 

ゴルパンには、プロのミュージシャンやアニメーターもいれば、「そんなふうになりたいです」という人も、「特に何もしてません!」という人もいて、実にいい。

 

共通点は「ヤンサンを観ている」という事だけ。

なので、不思議な仲間意識と共に「ここでなら言っても大丈夫かも」と、普通に「本音の話」をしてくれる。

 

普段は「こんな事言うと立場的にヤバいから言わない」と思って、心の中にしまってあるような気持ちを語ってくれたりする。

 

利害関係のない「場」ってのは本音を話しやすいのだ。

しかも、誰も強制はしないので、黙っていてもいいし、その場で友達を作ってもいい。

 

そんなわけで、打ち上げのトルコ料理屋も勝手に盛り上がるはずだった。

 

ところが、その店の「恰幅のいいトルコのヒゲおっさん」が大声で仕切りまくってくる。

事前におっくんから「俺の10倍はうざいっすよ」と聞いていたものの、想像以上の迫力だ。

 

おっさんの口癖は「ヤバい、ヤバいー」で。

 

「ヤバい」を連発しながら、綾小路きみまろみたいに客をいじっていく。

 

イケメンの男の子や、モヒカンの「オズ」みたいな、見た目のいじりやすそうな人は真っ先に「餌食」にされていく。

 

もちろん「僕は無理です」という空気を出しているお客さんには無理に絡まない。

その辺は実に日本人の性質を見ている。

 

そんなこんなで、内気な人もそれなりにその場を楽しんでいた。

 

ショータイムになると、お馴染み「装飾ビキニ」のセクシーなベリーダンサーのお姉さんが現れて、絨毯の上をクネクネと踊りながら練り歩き、次々と絡んでいく。

 

ゴルパンのメンバーは「ファンキーな人」も多いので「踊るよ」とひっぱり出されても平気な人が多いのはさすが。

 

ヒゲオヤジは僕らのメンバーの雰囲気を読んで、色々な事をやらせる。

聞いてないのにミュージシャンの人には「お前歌え」と言う。

 

そして僕には「お前10分しゃべれ」と言った。

 

さすがヒゲオヤジ。僕がこの直前に3時間近くも喋ってきたのを見ていたかのように言ってきた。

 

しかし、困ったことに、その店には僕らの他に2つのグループがあり、その人たちには「ヤンサン」なるニコ生の番組なんか、知るよしもない。

なんなら「ニコ生って何ですか?」みたいな感じではないか。

 

まさに「たこつぼ文化」の弱点だ。

 

この場所で「えー、それではここで「俺たちはなぜサンボマスターを許せなかったのか?」という話を始めます」とか、やってもいいんだけど、そうなると面白いのは我々「ヤンサンたこつぼ」の仲間たちだけになってしまう。

 

ちょっとやりたかったけど、僕は「他のお客」に気を使って無様にトークを切り上げた。

 

ところが。

 

大騒ぎショータイムの後で、僕が気を使っていた「別のグループのお客さん」の1人が、僕に声をかけてきた。僕より若い女性の人だ。

 

「あの、 山田玲司さんですよね。私、漫画家の〇〇です」

 

僕は15年くらい前にその人と会っていた事を思い出した。担当の編集者が同じだったのだ。

当然話題は、共通の知り合いである「女性編集者」の話になった。

 

「彼女、今どうしているか知ってます?」と言われたけど、僕はもう7,8年は連絡を取ってないので何も知らない。

 

「まだあの出版社にいるんじゃないんですか?」

 

「辞めたんです彼女。その後アメリカ人と結婚して、今はアメリカで2人の子供の母親ですよ」

 

そう聞いて思い出した。

 

その女性編集が僕の担当だった時「子供の頃の夢は何だったの?」と聞いた事があったのだ。

 

彼女はこう言っていた。

 

「ハリウッド女優です」

 

なるほど、近くはないけど、そんなに遠くはない将来が来ているわけだ。

そんな話で大笑いして、ふと思った。

 

この世界に溢れる「殺伐とした同調圧力」からの「防空壕」が「たこつぼ」なのは間違いない。

 

でも、そんな「つぼ」の中で遊んでいるうちに、自然と「外の世界」や「過去の人」や「未来」にも繋がっていく可能性があるのだ。

 

気がつけば、アフリカで出会った女の子も韓国からのゴルパン仲間も、ヒゲオヤジとイスラム音楽で踊っている。

 

そんな「魔法の絨毯」の上で「奇跡も魔法もあるんだよ」なんて、思い出してちょっと可笑しくなった。

 

追伸

 

大好評だった先週の環境回。

江守正多博士からのメッセージが来ております。

 

放送中、「人間活動による温暖化を否定する3%の論文はすべて間違ってた」という論文が出たと言いましたが、以下はそのソースです。

 

http://buzzap.jp/news/20170913-counter-to-climate-change-denier/

 

いやー、さすがですね。

 

山田玲司

公式サイト:漫画家 山田玲司 公式サイト
Twitter:@yamadareiji
ファンサロン:GOLD PANTHERS

 

【質問はこちらへ!】

Gメール:yamadareiji6@gmail.com
タチワニ:http://ch.nicovideo.jp/yamadareiji/letter

 

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企画編集:山田玲司
平野建太
発  行:株式会社タチワニ
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