コラム 2018.06.29

【第169号】「本気」になったら大丈夫なのか?問題

山田玲司のヤングサンデー 第169号 2018/1/15

「本気」になったら大丈夫なのか?問題

 

 

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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。

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年末にやった人生相談回。

お陰様で大好評だったんですが、1つ1つの問題に時間をかけすぎてしまって、お答えできないものが沢山あるので、時々ここでお答えしていきます。

 

今回はその1回目です。

 

Q

僕は今高校三年生です。

ドレスコーズに影響を受け、ロックやその他もろもろのサブカルチャーなどが好きで自分にとっては何もない町で、クラスが40人程の2クラスの中学時代には気の合う人などおらず、かといって虐めなどは受けるタイプでもなく本当の友達はいなくて、いわゆる不良かもしれないですけどヤンキーになる理由もわからないまま我が道を貫いてきました。

中学時代は部活は強制で、親が小学生のサッカーチームの監督で、自分も子どもの頃から一応練習に参加したりしていたので、サッカー部に入りました。

しかし、元々面倒くさがりな自分にとっては朝は早いわ、休みなし。本当に辛かったです。唯一の文化部の吹奏楽部に、入るという手もありましたが女子しかいなく注目されるのは嫌いなので断念しました。

 

本当に心開ける友達もいない自分にとっては勉強などは面倒くさく一人でいいやと思い偏差値42ぐらいの高校でいっかと思い今に至ります。

 

そして最近生まれ変わって、赤点ばっかしの自分を更生し、自分の追求しているピュアな音楽を作らないと将来が駄目だなと思った矢先に今回のヤンサンのタイトルを目にして相談させて頂きました。

 

こんな人間どう思いますか?本気を出せば変われる自信がある自分を受け止めてくれる人はいると思いま すでしょうか?

(連絡先なし)

 

A

この感じは本当にわかります。

「学校」という場所にいる時期に特に感じる気分でしたね。

社会全体がそうなんだけれど、特に「学校」という場所では「何かで高評価を取っていないとダメなやつ」と言われるものです。

 

そんな環境で「他人からの目」を意識しては「俺も本気出さないとな・・」・・なんて思ってしまうわけです。

 

とは言っても、何に「本気」になればいいか、もう1つ納得がいかないので、本気にはなれないまま「ふりだしに戻る」を繰り返すわけです。

 

そんな自分をついつい責めてしまいがちなんだけど、問題は「自分」にあるわけではありません。

そもそも「本気になるべきこと」について、深く考えない世の中の空気に問題があるのです。

 

高校生だと「野球部」とか「英語検定」とか「全国模試」なんかに「本気」になってると、周囲は褒めてくれます。

 

反面「ネトゲ」や「バイト」や「追っかけ」なんかに「本気」を向けていると、周囲は冷たくなり「ダメ人間」というレッテルを貼られます。

 

「そりゃあそうだろう」と言う人もいるでしょう。

ところが、僕が「絶望に効くクスリ」で取材した「人生を楽しんで生きている人」ってのは、大抵「後述タイプの人」でした。

それがどういう人かと言えば「自分の好きな事に自分の意思でのめり込むタイプの人」です。

そして、これがまた大事なんだけど、「自分がいいと思っている事に関しては、世間が何と思っていても気にしない」という性質を持っている人です。

簡単に言えば「世間が何と言おうと、私は私のしたいことをする」というタイプです。

 

それが「人気のスポーツ」とか「将棋」「経済学」みたいな世間体のいいジャンルならまだいいけれど、そうでない場合、世間の人は「冷たいジャッジ」を続けます。

「ミュージシャンになる」とか「アイドルの研究しかしない」みたいな人に、ほとんどの大人は「君は大丈夫か?」とか「あいつはバカだ」と言ってきます。

 

ところが、そう言われていた人の方が、案外「後悔のない人生」を送っていたりするのです。

たとえ「ミュージシャン」になれなくても、「自分の意思」で本気でやってきた人は強いのです。

僕はそういうタイプの人達が「別の分野」に行っても自分の居場所を作っていくのを何人も見てきました。

 

何に関しても「自分の意思で始める」という事が重要です。

逆に高校時代とかに「みんなに認められる事」ばかりに本気になって「結果」を出しても、その評価(結果)は人生全般を照らしてくれる保証はなく、逆にそれが「過去の栄光」として人生を縛る事もあるのです。

 

「それでも何もないよりはマシ」と言われるけど、世間に評価されないことが「何もないこと」とは思えないのです。

 

何度か書いたけど、僕は大学を出た後に漫画が売れなくて、将来の不安を抱えながら「漠然とした日々」を送っていた時期があります。

 

同期デビューの漫画家が次々とヒットを出して売れていくのは「きつかった」けど、あの頃の「壊れかけの車にデッキチェアを積んで江戸川の河川敷で空を眺めていた日々」は、自分の人生にとって「何もない時間」ではないのです。

 

番組でおっくんが「自分の人生の最高の時間は、友達とバカみたいにゲームにハマっていた時間だと思う」と言っていたけど、僕もその気分はすごくよくわかる。

 

まずは「自分の意思でやりたいことをやる」

そして「世間の目は気にしない」

 

それが例え人からは「不毛な消費活動」にしか見えなくても「自分がそうしたい」と思うなら(人を傷つけないという条件つきで)やるべきでしょう。

その時の「本気」からは多くの「学び」を享受できるはずだからです。

そして「それ」は「自分が選んだもの」だから「誰かに無理やり教わる意味の分からない課題」とかとは訳が違うのです。

 

ここまで書くとおそらく相談者の高校3年生は「自分のやりたいピュアな音楽制作をします」と言うかもしれない。

 

それは大いに結構なのだけれど、もう1つオススメしたいことがあります。

 

それは、あらゆる事に関する「自問自答」と「地球レポート」です。

 

みんなが熱くなっている「何か」を見て「バカなやつらだ」と思うのはいいけど、「なぜそんなに熱くなれるのか?」と、その理由を自分なりに考えて欲しいのです。

そして、あらゆることに「私はこう思う」という「自説」を構築して、それを磨いて欲しい。

 

「考えても意味なんかない」という「逃げ道」だけは塞いで生きるのです。

 

「あいつはなぜモテるのか?」「なぜカエルは泳ぐのか?」「なぜ空は青いのか?」

「なぜ戦争がなくならないのか?」「女とは何か?」「法律とは何か?」

何でもいい。

それらの疑問に自分で答え、誰かに聞き、調べ、考察する。

簡単に答えを出せなくていいし、誰かと議論する必要もない。「自説を磨く」だけでいいのです。

 

これらの「疑問を持てる力」と、それを「楽しむ力」があれば人生に「退屈」は来ないし、「やるべきこと」はそこから見えてきます。

そして、そんな人間には「何かしらの仕事」が与えられるものなのです。

 

こう思って生きるのもオススメです。

 

〜いつか自分が死んだ時に「他の星から来た宇宙人」に「地球はどんな星だった?」と聞かれる。

その時「最高の答え」ができればそれがゴール〜

 

僕が思う「本気になるべきこと」は、これにつきますね。

 

そうすれば基本的に地球は「最高の遊び場」になってくれるのだ。

 

山田玲司

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企画編集:山田玲司
平野建太
発  行:合同会社Tetragon
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