コラム 2018.08.02

【第174号】片思いの彼女から 「死ぬ時に、奥さんより先に死にたいですか? 後に死にたいですか?」 と聞かれた場合、どう答えたらいいのか?

山田玲司のヤングサンデー 第174号 2018/2/19

片思いの彼女から 「死ぬ時に、奥さんより先に死にたいですか? 後に死にたいですか?」 と聞かれた場合、どう答えたらいいのか?

 

 

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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。

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今週は「田中圭一さんの回」に頂いた相談にお答えします。

 

相談【あのデートの時、何を話せば良かったのか?】

 

栃木県 23歳 焼きそばパン

一昨年の春から昨年末にかけて約1年間ある女性に片思いをした話です。

スペック 自分 23歳、会社員、静かな性格、彼女いない歴もうすぐ24年、失恋7回、週一で絵画教室に通う

 

相手(以後Oさん) 23歳、一昨年美大中退後フリーター、今後の人生に悩んでいる、いつもニコニコして社交的だが、少し影がある、本人曰く中学で1度彼氏がいたがよく分からないまま別れたため恋愛経験はほぼなし、絵画教室の先生の娘さん、完全に私の主観ですが可愛い 。

 

2016年の2月からOさんのご両親が教える絵画教室に私が通い始め、そこで彼女と出会いました。

《略》

お互い漫画や音楽が好きなことが分かったり、描いてる絵を観てこの感じ好きですとか言われたりして、2ヶ月と経たぬうちにOさんのことを完全に好きになっていました。

しかし、彼女と話せるのは教室での5分程度の時間のみで、そこにはご両親も見守る中、内気な私が連絡先を聞けるような状況ではありませんでした。

 

そんな日々が半年ほど続いたある日、呑みの席で、Oさんの父親である先生から、彼女のバイト先が某中華ファミレスであることを聞いた私は、その翌週から彼女に会えるまでその店に通い、3日目ついに会い、食事に誘うと、彼女は快く承諾して、メルアドを交換しました。

 

初めてのデートの日、喫茶店で昼食を食べ、近くの公園で歩きながら好きな音楽や漫画の話をしました。彼女は古屋兎丸や奥浩哉の漫画、村下孝蔵の初恋とアンルイスの六本木心中が好きだと言っていました。思ったよりディープで微妙に自分の守備範囲と違う趣味に戸惑いながらも、でもまあ近い近いなどと思いながら話は彼女の人生の悩みに入り、生きるって大変だよねなんて話しをしながら、そのまま色恋的なムードもなくその日は終わりました。

 

その後、某ミュージシャンが出演する溺れるナイフという映画にOさんを誘ったのですが、彼女のスケジュール的にかなり忙しいらしく、初デートから2ヶ月空いてのデートになりました。《略》久々のデートだったので、張りきって彼女の近所まで迎えに行って、車で30分ほどの映画館へ向かいました。

 

その移動中、漫画の話などした後、彼女から、

「死ぬ時に奥さんより先に死にたいですか? 後に死にたいですか?」 と聞かれ、私もこれは重大な質問だと思い、しばらく考えて、

「後に死にたい」 と答えました。それは相手を残して死ぬ方が哀しいと感じたからそう答えたのですが、何を恥ずかしく思ったのか「どうしてですか?」との問いに、「なんだか得な気がするので」とアホみたいな返事をしました。そして

 

「Oさんはどっちです?」 と聞くと彼女は、

 

「私は一緒に死にたい」と。

 

さらに「出来ることならこの世の皆と一緒に死にたい。1人で逝くのも、先に逝かれるのも寂しいので」そう答えました。

 

あまりの話の重さに耐えられなかったのか、私は、「ずいぶん怖いこと考えてるんですね」 と、またアホで全くデリカシーのない言葉を彼女にぶつけてしまいました。

 

その後微妙な空気のまま映画館に到着し、溺れるナイフを鑑賞して、面白かったねなんて話をしながら、別れ際に私が「次どうしましょうか」というと彼女は神妙な面持ちになり、「いやあ、次は…」と。それまで楽しく話していたので慌てた私はそれから20分ほど訳を聞きました。今でも覚えている彼女の言葉は、「どう思われているのか分からなかった」「メールの返信も遅くしたりしたのに」の2つです。

 

そして、1週間前に見た500日のサマーの教訓もすっかり忘れて「じゃあ僕とは付き合えないんですね?」 と聞き、彼女は苦しそうに「そうですね」と答えました。

 

ただ、どうしてもまた絵画教室で会うことになるので、友達のような関係なら良いと言ってくれて、その日は終わりました。それから、切り換えよう、忘れようと思ってもたまに教室で彼女を見るたびに、胸が苦しくなる日々。

 

《略》

 

電話するのが嫌ならメールで「嫌だ」と送ってくれと頼みました。

彼女から電話がきて、改めて告白すると、「あなたが誠実でいい人だとは思うのですが」と2度目の撃沈。

 

大変長々と失礼しました。皆様に相談したいことは、今後別の人に恋をする上で、何に気をつけるべきなのか、最後まで敬語から抜け出せなかったとか、意外と背高いんだねと言ったとか、必要以上にメールを送らなかったとか、思い当たる節がありすぎるのですが、教えて頂きたいです。

 

また、2回目のデートの際に話した彼女の問いと、その答えについて皆さんがどう考えるのか、そして3月を最後に彼女とは一生会わないつもりなのですが、それまでに何かすべきことがあるのでしょうか?(恋愛というより、彼女の人生の悩みや死生観に対して)

皆様のご意見を伺いたく思います。

A

この相談。

男なら若い頃に1度くらい体験したことがあるのではないでしょうか。

 

可愛い女の子と出会って、デートまではいけたものの、なんだかもう1つ彼女の心が見えないまま「次の機会」がなくなってしまう。

 

自分としては「まだまだこれからじゃん!もっと君の事を教えてよ、俺の事を知ってよ」なんて思っているのに「ごめんなさい爆弾」をくらってしまい、何もできないまま「自分の何が悪いんだ・・」って状態と「あいつにだって問題ある!」ってのを繰り返し、ただただ悶々と時間が過ぎてしまうヤツです。

わかります。僕にもありました。

 

では、さっそくこの方の「デートの検証」をしてみましょう。

 

〜彼女とは「漫画や映画の話」では盛り上がるけど、その先の話にはなかなか広がらない。〜

 

〜なんだか彼女は「漠然とした大きな悩み」を抱えているみたい。〜

 

よくあるケースです。

というか、ほとんどの女の人はこんな感じです。

 

「私は楽しく生きているから平気です。あなたは何を悩んでいるのかな?」

なんて、言ってくれるアニメキャラみたいな女の人はめったにいません。

(いてもその大半は演技です)

 

この相談の「どちらが先に死にたいか?」「私は一緒に死にたい」という文学的パートですが。

これまた若い女の人が抱えている「ある気分」を表している質問です。

これは「誰かと深く繋がりたい」「永遠に孤独を感じたくない」みたいな気分の事で、早い話「寂しい」わけです。

 

10代が終わる頃の無敵の感覚は20代半ばくらいに減退を始め「このまま私は1人で生きていくのだろうか?」などと考え始めます。

 

その「気分」は30代半ばを超える頃には「まあなんとかなるわよ」なんて感じになるのですが、とにかく20代半ばからの数年は「誰かと(強く)永遠の繋がりを持ちたい(いますぐに)」なんて事ばかり考えているものです。

「なら俺でいいじゃん!」と思っても、相手に関してもそのハードルは高いわけです。

そしてあまりの寂しさに「誰でもいい」と「1人で生きるわ」みたいなのを繰り返すのです。

 

まあそんな「女の気分の深層」なんて、若い男には解らないのが当たり前です。

「長生きできた方が得じゃん」みたいな答えをして女を呆れさせるのが、普通の「若い男」です。

 

そうは言っても、人生の中でそんな「文学的瞬間」に立ち会えただけで君は「得」をしていますね。

 

そんな瞬間を体験できただけでも、この「片思い」には価値があるのです。

 

「何が正解か?」に関してあえて言うなら、この場合は無理せず「君はどうなの?」と、先に聞いてみるのがいいでしょう。

 

これを乱発してると「質問を質問で返さないで!」とか言われるけどw、

ほとんどの人の「質問」は「自分の話」を聞いてもらいがための「フリ」なので、大概は答えてくれます。

 

「私は一緒に死にたい」という話に「どうして?」と聞いて、彼女の答えに対して「下手な意見」はしなくていいでしょう。

かつての男は「お前何言ってんだよ」と、強く反論したりもしたし、それなりの意見も自信もあるヤツもいたけれど、今の若者に初めからこれを要求するのは難しいと思うからね。

(実は女の人の多くがこういう自信に満ちた男を待っているんだけどね)

 

持論を語って満足した彼女は「あなたはどうなの?」と聞いてくる事があります。

そしたら、彼女の意見を尊重しつつ自分の意見を言えばいいでしょう。

 

どんな「優等生的な答え」をしても、その言葉が「借り物かどうか」は女の人にはバレてしまうので、最低限「相手の気持ち」を否定しないように答える事。

このあたりが若い時期には「可能な選択肢」だと思う。

「誠意は感じるけど、無理」と言われても、やっぱり誠意は必要だしね。

 

僕は若い頃に彼女にさんざん振り回されて、君のように「悶々とした時間」を過ごしてきた経験があります。

 

当時の僕は「人生の中でも貴重な若い時間なのに、何でこんなにつまらない過ごし方をしなければいけないんだ」と思ってイライラしていたものです。

 

女は気まぐれで、女は理解できない。

 

女は男を採点していて、女の言葉は掴みどころがない。

 

目的と理屈で生きている男にはあまりにも「不可解」な行動で振り回して、ある日何もかもが「無し」になったりする。

それはもうジタバタさせられたものです。

 

ところがこの「無駄足」に見える「葛藤の日々」が、僕に大きな力をくれたのが後からわかりました。

 

「小さな器」には「大きな話」は入らない。

 

ほとんどの人が「大きな話」を抱えている。

 

じゃあどうすれば「大きな器」が手に入るのか?

まずは相手を「受け入れる」ことです。何度もね。ただ「言うことを聞く」だけじゃなく、試行錯誤しながら相手から学ぶことです。

 

異性から学べば「自分の器」を大きく出来るのです。

「苦しい恋」をくぐった後には「心の筋肉」も「人の痛みがわかる心」もレベルアップしてます。

 

次に出会う人の「王子様」になってあげてください。

 

山田玲司

 

 

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企画編集:山田玲司
平野建太

発  行:合同会社Tetragon

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