【第176号】長生きには「ゲーム」が効く
長生きには「ゲーム」が効く
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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。
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【困惑のゲーム実況】
先週のヤンサンは初の「ゲーム実況」だった。
正直な話「ゲーム実況」には困った。
何が「困った」って「楽しすぎる」のだ。
思えば「漫画の連載」が分業になって、大人数が仕事場に集合する事が減ったので、昔は普通にやっていた「みんなでゲームをする時間」ってのが無くなっていたし、相手はファンキーで気の合うヤンサンメンバーだ。放送前の動作確認から面白い。
「ゲーム実況」というジャンルの魅力は、なんと言っても「友達の家でワイワイ遊んでいるような雰囲気が味わえる事にある」と思う。
もちろんそれだけじゃないと思うし、自分が出来ない「超絶テク」なんかを見たい人もいるだろう。
でもヤンサンレギュラーにはそんな技を持っている人はいないので、ゲーム実況をやるなら「楽しい雰囲気を伝える」って事に集中しないと・・なんて思っていたけど、そんなもん意識しなくても楽しい。
放送が終わって「楽しい放送だった」とか「またやって欲しい」と言ってくれる人も多かった。
なのに僕はまだ「こんなんで良かったのだろうか?」と思っていた。
「自分たちだけで楽しんでいていいのか?」
「こんなもの放送したら昔からのファミリーを失望させてしまうんじゃないか?」
そんな事をどこかで感じている自分がいた。問題はここだ。
「今回はゲーム実況という挑戦を見せる企画」だと決めていたのに、どこかで「楽しんではいけない」と思っている自分がいたのだ。
何だこれは?楽しいのは罪なのか?何を言ってるのだ山田玲司。
普段から「自分は楽しむために生きている」とか「楽しくない現場からはいいものは生まれない」とか言っていたのに、僕は何を迷っているんだ。「真面目も休み休みに言え」
僕はしばらくこの違和感の理由を考えてしまった。
【ムダを省く病】
確かにヤンサンはお手軽に知識や教養が身につく「得する放送」でありたい。
でもそれだけじゃまるで「功利主義番組」だ。
「功利主義」とは、ざっくり言って「ムダを省いた要領のいい選択をする」考え方だ。
確かに「役に立つもの」「儲かるもの」「効率のいいもの」ばかりを追いかければ、ある程度の「収入」には繋がる。
でも「役に立たないもの」「不便なもの」「意味のないもの」「使えないやつ」「バカ騒ぎ」みたいなものを人生から排除してしまったらオシマイだ。
何がオシマイかと言うと、人生が「面白くなくなる」のだ。
大人が子供に言う「ゲームは役に立たない」と言う言葉も「功利主義」が言わせている。
多くの親が子供に望むのは「高収入」の人生だろう。
親の多くがそれを「幸福な人生の第1条件」だと思っている。
そのために有利な「学歴」が必要で、まずは「勉強」をしなくてはならない。
なので「勉強に関係ないゲームの時間」はムダだからさせたくないというわけだ。
そんなわけで子供時代に「遊び場」「遊び仲間」を奪われた人達は「ムダ」に飢えているのかもしれない。
ゲーム実況コンテンツの人気の背景には、奪われた「みんなとの遊び時間」を取り返したいという思いが乗っているのかもしれない。
【幸福はムダの中にある?】
確かに「役に立たない時間」は魅力に溢れている。
今回出てくれた人達の中で「レベル上げだけに費やした最高の(ムダな)1日」について誇らしげに語っていた人がいた。
振り返れば確かに「最高の1日」に思える。
僕の人生にも「ひたすら地面に落書きしていた日」や「トカゲを探していただけの日」がある。
膨大な人生の中に「そんな1日」があってもいいはずだし、そんな1日ほど「思い出」に残るのだ。
【長生きの理由】
そんなこんなを考えながら「TED」を観ていたら「世界一長寿の島」についてやっていた。
イタリアにある「その島」は100歳を越えるお年寄りが沢山いる「長寿の島」で、しかも長生きしているのは女性だけではなく、男性も元気なまま長生きしているというのだ。
登壇者はその理由を徹底的に調査したという。
長生きの条件には「喫煙しない」とか「運動」とかはあるものの、それよりはるかに大きな要素は「誰かと関わっている」という事だった。
これは深い。
「ムダのない人生」を生きてきたらどうなるだろう?
確かにそういう人は、上手く行けば「お金持ち」になれるかもしれない。
でも、ムダを省いた人生で「自分と関わる人」は「利益目的の人ばかり」になっていくだろう。
これでは仕事をしている時期も寂しいだろうし、仕事が終わると自分の周りには人がいなくなってしまう。
「役に立たない人間とは付き合わない」と言う人や「金にならない事なんかしない」と言う人がいるけど、そういうタイプの人が晩年に孤独になっている話は多い。
そもそも「幸福」が目的だったのに、「功利主義」の先には「孤独で短命な末路」が待っているというわけだ。
意味のないゲームでみんなと騒ぐ事が何であれほど楽しく感じるのか?
そこには純粋な「関わり」があるからだと思う。
【本気の遊び】
同時にこんな事も思った。
人生には「自分の全てをかけた遊び」があるって話だ。
「スラムダンク」などの井上雄彦の漫画には「スポーツに本気にならない人達を批判的に描くシーン」が何度も出てくる。
「たかがバスケなんだからさぁ・・そんなに熱くなんなよ」
なんて言われる主人公。
それでもバスケを「ただの遊び」とは思えない主人公。
この気持ちは僕にもわかる。
「本当に面白い遊び」は「自分の全て」をぶつけた勝負に出ることなのだ。
僕にとって「漫画」や「絵本」がそれで、それだけは「ただの遊び」とは違うと思っている。
最終的には「ムダだらけの行為」なのだけど、それが誰かの人生に役に立つことがあれば、「ムダ」も「ただのムダ」にはならない。
どちらにしても「みんなで楽しくやる」という基本は外したくない。
「ゆるい遊び」と「本気の遊び」の間で「人と関わって生きていく」
思えば沖縄の友人はそうやって生きてる。どうりでみんな元気で明るいわけだ。
それにしても「将棋」だって「ゲーム」なのにね。
「天才将棋少年誕生」とか騒いで、一方で子供のゲーム機を壊してたりするよね、親って(笑)
そんでeスポーツ(ゲームの大会)で何億もの収入を稼ぐ人が現れるといきなり「ゲームもあり」とか言い出すから「親」ってのもあてになんない人が多いよね(笑)
そんなわけで、ヤンサンは今後も「ゆるい遊びも」やりますんで、僕らと一緒に楽しく長生きしましょうね〜
山田玲司
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企画編集:山田玲司
平野建太
発 行:合同会社Tetragon
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Written by
ナオキ
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