【第206号】「鎖国」を終わらせる時の注意事項
「鎖国」を終わらせる時の注意事項
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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。
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「引き篭もり」と「鎖国」
最近はどういうわけか「明治維新」の番組をやたらと観てる。
大河ドラマはどうにも恣意的に感じるので、「西郷どん」は観てないけど、録画しまくってる歴史番組やらネットの動画を観ながら漫画を描いてる。
かつては侍の圧政から解放して民主化を成功させたのが「明治維新」だと、漠然と思い込んで観ていたけど、それがどうも怪しいと思うようになった。
確かに・・
「欧米列強の植民地にならずにすんだ」
「腐敗した侍が支配する世の中を解放した」
・・なんてのはいい話だ。
とは言っても次に向かったのが「富国強兵」
それも時代の流れで仕方なかったとは思うけど、とにかくこの流れ「ブレーキ」がなかった。
「豊かになるため強くなれ」
ってのが「富国強兵」だ。
全土が焼き尽くされて、300万人が死ぬまでそれは続き、今度は経済で同じことを始めた。
ある程度は成功したのに、今度は過労で死んでも止まらない。
「頑張ってるのに幸せじゃない」
そんな世の中に長いこと暮らしていると、どうしても「江戸」の事を考えてしまう。
それは飢饉も圧政もあったろうけどね。
「鎖国」になっていって、世界に壁を作って「自分たちだけで浮世絵なんかを楽しんでた時代」なんてのも、あるにはあった。
ところで。
「鎖国」は「引き篭もり」と似てる。
勇ましい連中が浮世絵を「けしからん」なんて弾圧したのも、「アニメはけしからん」ってのに似てる。
そんな幸せな「引き篭もり時代」を終わらせなければならなくなったのが「幕末」だったわけだ。
とはいえ。
「江戸も良かったのではないか」とも思う。
何でもかんでも「勝て」「金持ちになれ」ばかりじゃもたない。
「強くなる」だけで全てが解決するわけでもない。
何より「幸せになれる」わけではない。
そういえば若い世代に「誰も殺さない、優しいRPG」ってのが流行ってる。
生まれてすぐに「戦え」と言われる世の中に、心の底からうんざりして「鎖国」したのが「引き篭もり」なのだと僕は思う。
とは言え、「開国」の時は避けられない。
世界が暴風雨でも部屋を出なければならない時が来る。
どうしたものか…
なんて考えてたら、五木寛之さんがいいことを言っていた。
戦前、戦中、戦後を知っている五木さんは、基本的に「世の中」を信じない。
70年以上病院に行かなかった。
(これは養老孟司さんも同じ)
早起きもしない。
世の中が「あれは良くない」と言っても、信じない。
「よく噛む」というのが流行っていた時
やたらと噛み続けてる人に「そんな事止めろよ」と言ったという。
「胃がサボるだろ」
と言うのだ。
「胃には胃の働きがあって、ろくに噛まなくてもちゃんと消化する働きをしている」「それをさせてやれ」と言うのだ。
五木さんが病院に行かなくても元気なのは、世の中の言う事を信じないで、自分で考えて調べて行動してきたからだという。
うーーん・・・
またしても「自分で考えよう」って話だけど、これって「鎖国」を終わらせなければならない時に効く。
引き篭もってなくても、自分の部屋を出る時は毎回「鎖国の終わり」だ。
鎖国を解いて世の中に出ると、意味もなく「これが正解」ってのを押し付けられるのだ。
そんな気分の時は「世の中なんか何も信じない」と決めて行くしかない。
穏やかに「決まりごと」をスルーして、自分で考える。
状況は常に複雑で、誰にも答えは出せない。
考えるのはしんどいけど、
「面白い事」でもある。
山田玲司
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平野建太
Written by
ナオキ
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