【第201号】ご注文は?
ご注文は?
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おことわり:このコラムは、ニコニコチャンネル「山田玲司のヤングサンデー」で配信されているメルマガを全文転載してお送りしています。転載期日が2018年4月下旬以降の号は、テキストのみを抜粋・転載しております。
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わかっているけど、フラれるのは辛い。
好きな人に「あなたはいらない」と言われるのだから、これはもう世界の終わりだ。
漫画家にとっての「フラれる」は「打ち切り」だ。
毎週始まる「新連載」でヒットする漫画はほんの数パーセントにすぎない。
実際長く続くヒット作は10本に1本あるかないかだ。
世間では「売れた漫画」の話しかしないので、90%以上の「切られた漫画」の話はしない。
かくして「ほとんどの漫画」が「シュレディンガーのネコ」となる。
ところが。
歴史的名作には「打ち切り作」が多いのだ。
ああ・・
また僕はこんな事を書いてる。
なんで書いているかと言えば、先週の「主題歌決定戦」がその理由だ。
もちろん選ばれた曲は最高だし、なんなら毎日聴きたいくらいなんだけど、やっぱり僕は「選ばれなかった曲」の方に気がいってしまって今回も苦しかった。
とにかく僕の人生の大半は「努力しても選ばれなかった」事だからだ。
今回も「この曲が選ばれないの?」という事が多くて参った。
ところが、そんな悪魔の選考バトルの裏では、今やすっかり盟友となったヤンサン音楽部の連中がリアルタイムでチャットしてたみたいなのだ。
みんなそれぞれ自分の曲を応募している。
彼らは「放送時」も「放送後」も、お互いの才能を称え合っている。
選ばれたギャラクシーデッドは「アンケートなんか関係ねえ!」と言っている。
そうなのだ。
選ばなければいけない都合上、ファミリーのみんなに「選んで」もらっているけど、選んでいる方も本心では「選べない」と思っているだろう。
そうなのだ。
「選ぶ」なんてできないのだ。
選ぶ基準は「その時好きだと思った」という理由で、「全部好き」と思ったらもう判断はできない。
選ばれた曲が「ダメな曲」というわけではい。
とはいえ、年に1度のこの「残酷祭り」
これがなくては出会えなかった「才能」「人」「聖なる時間」がある。
「誰かが傷つくじゃないですか!」なんて言って、やらなかったら全部なかったのだ。
選ばれなくても諦めずに挑戦してくる。
そんなヤツが選ばれる日が来る。
ああ・・もう何か言葉が出ないし、言葉なんかいらないんだろうな。
まあともかく。
「こうなりたい」と思っても、すぐに願いは叶わない。
それでも「自分はこうなりたいです」って言っておかないと話は進まない。
絶望に効くクスリのインタビューである人が言っていた。
「神様はレストランのシェフみたいなもんで、注文してくれなければ何も応えられない」って。
そして店が忙しいと、注文しても「それ」が出てくるまで時間がかかる、なんて。
本当にそうだ。
「認められる」なんて言っても、それがいつになるかなんてわからない。
何度も書いた話だけど「ガンダム」も「ヤマト」も打ち切りだし「ゴッホ」も「モディリアーニ」も売れないまま死んだ。
覚悟を決めて「それでも止められない最高の事」を続けるしかないのだ。
そんなこんなで、その「シェフ神様」の話を聞いた当時、僕が何を「神様に注文」したかを思い出した。
「僕に出会ったすべての人が幸せになる」
なんて注文したのだ。
放送が終わると、みんなが幸せそうな顔をしている。
選ばれなかった人からも感謝のリプが届く。
もうね・・・何も言えませんよ。
みんなありがとう。
山田玲司
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平野建太
Written by
ナオキ
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